1兆の1億倍! 宇宙の果てを超える

では、これから先の300年はどうなるのか。300年前は機械でしたが、これから起きるのは情報のビッグバン。たとえば100年前、アナログ式の計算機は大変高価でしたが、1秒あたり0.000006回しか計算できないような代物でした。現在は3500兆倍の計算ができます。コンピュータも人間の脳も、トランジスタやシナプスがくっつく、離れる、という2進法で計算をしていますが、いつかはひとつのコンピュータチップのトランジスタの数が人間の脳のシナプスの数を超える日が来ます。私の計算によれば、18年。誤差があっても、10年以内に人間の脳を超えるコンピュータチップが登場します。では、100年後はどうなるのか、計算してみました。なんと100000000000000000000(以下、1垓)倍です。この数の単位すら知らない人も多いでしょう。1兆の1億倍のことで、1メートルを1垓倍すると宇宙の果てを超える、というくらい大きな単位です。さらに100年後には1垓倍の1垓倍になり、300年後には1垓倍の1垓倍の1垓倍。これ以上になると辞書にも単位がありません。本当にそんなことが起きるのかと言われれば、イチガイには言えませんが(笑)。

つまり、300年後はすごく予想外な状態だということです。でも、300年後も人はパンを食べていて、日本人は米を食べているでしょう。吉野家で牛丼を食べているかもしれない。でも、コンピュータに関しては、人類最大のパラダイムシフトを経験することになる。

300年後には「脳型コンピュータ」を普通に使いこなす時代になっていると思います。脳とは、データ(知識)とアルゴリズム(知恵)を自動的に獲得していくものです。今までのコンピュータは、人間がプログラミングしてはじめて計算したり記憶したりしていましたが、データの自動集積機能や人工知能はすでに始まっています。そう遠くない未来、自ら学習していくコンピュータが生まれるでしょう。また、脳には知識と知恵以外に「感情」という大切な機能があり、知識や知恵を感情の中にある「欲望」を満たすために使っているのです。でも、欲望を満たすだけではただの野蛮人。欲望に従って脳型コンピュータが暴走しだしたら大変です。でも、私は逆に知性や愛情、優しさといった深い次元の感情を持たせることが、コンピュータの制御につながると思いますね。そうしたら、「超知性」とでも呼ぶべきものの誕生です。