イライラはストレスに対する防衛反応の1つですが、人がストレスを感じたときの反応の仕方には2種類あります。前に出るか後ろに下がるかです。ファイト(fight)かフライト(flight)か。戦うか逃げるかです。これを心理学では「ファイト・フライト仮説」と呼んでいます。

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イライラは実は“前向き”ストレス

ではイライラはどうかといえば、攻撃性を含んだ防衛反応=ファイトだと言えます。ですから、イライラに対する最良の対応法は、「鎮圧」することよりむしろ「利用」することです。イライラ感を攻撃的な前向きのエネルギーに換えてしまうことです。

例えば上司に企画書を突き返されたら、そのイライラ感を「よしッ、あいつをギャフンと言わせるような企画書を作ってみせるぞ」と仕事のモチベーションに転化してしまう。営業職なら「え~い、あと10軒、飛び込んでやるッ」と、馬鹿力に換えてしまえばいいのです。「窮鼠、猫をかむ」です。

こう考えれば、イライラは必ずしも否定的な感情ではありません。むしろ仕事上のエネルギーを引き出すチャンス。イライラしている自分を喜べるという方向に自分を向ければいいのです。

逆に、壁穴に逃げ込むネズミのように後ろに下がってしまうと、無気力状態に陥って、うつや引きこもりになってしまいかねません。ファイトかフライトか、それは自分の選択にかかっています。イライラしたら絶えず前に出る習慣をつけておくことが大切です。

僕は1日に1食しか食べません。午後4時ごろに食事をして、それで終わりです。お腹が空いていると当然イライラします。ものすごく気が立ってきます。そのイライラ感を全部、仕事つまり原稿執筆のためのエネルギーに振り向けているのです。「世の中が何だ。負けないぞ!」という気持ちを原稿にぶつけていくのです。元気のある経営者は、みんな若々しくイライラしているように見えませんか。