子育て世代なら、子どもの能力を大きく伸ばすために、よりよい環境を与えたいもの。なかでも日々暮らす住まいは、成長の上で欠かせない重要な空間だ。子育て世代をよりサポートしてくれる住まいづくりはどうしたらいいのか、そのヒントを紹介しよう。
「今年はマイホーム取得の絶好のチャンス」──。そんな期待感が高まっている住宅市況とはいえ、30代・子育て世代にとっては、はじめての住まいづくりである。どんなことに気をつければいいのか、住宅ジャーナリストの山本久美子さんに話を伺った。

住宅取得のタイミングは
ライフプランと良い出会いで

山本久美子 住宅ジャーナリスト
リクルートにて『週刊住宅情報』等の副編集長を歴任。独立後は、住宅関連記事の編集・執筆や講演等を行う。All About「最新住宅キーワード」ガイドも務めている。著書に『中古マンション購入&リフォーム「 得」する選び方・改装術』(小学館)等。

ここ数年は低金利にもかかわらず、住宅市況は縮小傾向にありました。それがようやく景気が持ち直しはじめ、安倍内閣による経済対策への期待感もあって、このところ久しぶりに住宅購入マインドが高揚しつつあるようです。

購入マインドが上がれば、では「いつ買うか」ということになるでしょう。その意味では皆さん本当に消費税への関心が高い。消費税が上がる前がいいのか、後がいいのか、タイミングを計っている時期だと思います。しかしこの問題は、専門家の中でさえ「価格が上がる前に購入すべき」という方もいれば、「まだまだ価格が下がるので待ったほうがいい」という方もおり、意見は分かれています。

私の意見としては、そうした外的な要因に振り回されるのではなく、あくまで本人のライフプランやマネープランを軸にして、その上で良い不動産と出会ってはじめて購入に踏み切るべきだと考えています。住まいは結婚と同じで、永くずっと思い出をつくっていく場です。バッグや旅行のように安くなったから、買ったり行ったりするものとは違います。情報に煽られて準備も整っていないのに、あわてて判断するのが「一番してはいけないこと」だと思うのです。

住宅取得は早いほうがいいが
消費税に囚われる必要はない

とはいえ、きちんと準備が整っているならば、子育て世代にとってマネープラン上「住宅の取得は早ければ早いほどいい」とも言えます。今の子育て世代は、子どもの教育費、住宅費に加え、あてにならなくなってきた老後資金までも考えなければなりません。その中で、若いうちに住宅を取得すれば長期のローンが組めて、利息はかかっても月々の支払いを薄くして固定できますから、教育費や老後資金も設計しやすくなるのです。

消費税について付け加えると、住宅価格のうち土地は非課税ですが、建物は課税されます。5%から8%になると、2,000万円の建物なら60万円上がることになります。また、建築工事費用や住宅取得時の諸費用の一部も課税されますから、事前の準備が整っているなら、上がる前に購入したほうがいい。しかし、消費税が上がる時には、引き渡し時期の差でできるだけ損得が出ないように、それを軽減する住宅ローン減税などの措置が取られますから、あまりナーバスになる必要はないでしょう。