2013年4月19日(金)

ハンバーグのつなぎは塩だけでもOKです

プレジデントFamily 2011年3月号

大塚常好=構成 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:服部栄養専門学校講師 佐藤月彦

 

肉汁じゅわ~……。子供も大人も大好きなハンバーグ。ひき肉や玉ネギがあれば、お父さんでもサクサクッと調理できるが、「理屈」を知るともっと美味しく作ることができる。例えば、卵、パン粉といった「つなぎ」。なぜ、つなぎを入れるのだろう。

 

――「100%ビーフ」のハンバーガーのパテには、卵は入っていませんよね。どうして家で作るハンバーグには入れるのですか?

 

先生実はつなぎに卵を入れるのは日本独特の方法なんです。欧米では入れないのが普通です。

――日本に特殊な事情があるのですか?

 

先生卵は完全食品といわれるほど栄養価が高い。卵黄・卵白に含まれるタンパク質は必須アミノ酸がバランスよく含まれています。ハンバーグが食卓に並び始めた昭和の時代、100%牛肉のひき肉はぜいたくなので、牛肉よりも安価で栄養価の高い卵を入れたのです。

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「つなぎ」には「肉と材料の接着」以外の役目もあり。
――卵は「つなぎ」としてどんな役割をするのですか?

 

先生卵は、ひき肉同士をつなぎとめる“接着剤”になります。卵にはタンパク質がたくさん入っていますが、タンパク質の性質として温度が上がると凝固します。卵黄のタンパク質は約65度、卵白は75度を超えると固まります。だから、ゆで卵も茶わん蒸しもプリンも固まる。ハンバーグの場合、卵の凝固力が内部から肉のうま味が流出しないように重要な働きをしているのです。

――あの「肉汁じゅわ~」は卵のおかげなんですね?

 

先生その通りです。卵には保水性があるので、卵を入れると肉本来の食感とともにふわっと軟らかい弾力あるハンバーグに仕上がります。
 和食の場合、つなぎとしては、山芋、かたくり粉などでんぷん類を使うことが多いです。

――欧米ではなぜハンバーグに卵を使わないのですか?

 

先生以前、和牛ひき肉に卵を入れたハンバーグを食べたフランス人の子供は言いました。「これ、腐ってるよ」。彼らにとって軟らかい肉はなじみがなくて、肉は脂身が少なく硬いのが当たり前なんです。歯でかみ切って、味わう食文化なんです。食べた瞬間の「じゅわ~」はなじみがないんですね。フランスのテリーヌなどには、つなぎで卵を使いますが、これらはハンバーグステーキとは違うカテゴリーなんですね。

――日本はつなぎにパン粉も使いますね。

 

先生これも重要なつなぎですが、接着剤としての役割はあまりありません。牛乳に浸し、またそれを搾って混ぜることで、卵同様に成形しやすくなります。また保水性もあります。

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