不十分な点を指摘してくれと部下に頼もう

任せるべき仕事を任せていないときは指摘してほしいと部下に伝えよう。上司にフィードバックを与えるのは簡単なことではないのだから、自分はこの種の指摘を期待しており、素直に聞き入れるということを、部下にはっきり理解させよう。また、自分の成長は自分の責任であり、自分が引き受けたい仕事があるときは、それをやらせてくれと要求するべきだということを、部下に認識させよう。

権限を委譲したあとは、マネジャーの仕事は指図することではなく、部下を見守り、支援することだ。「必要なのは彼らの代わりに決定を下すことではない。彼らの批判的思考力を開発して、それぞれの状況によりうまく対処できるようにすることだ」と、フェファーは言う。部下に自由裁量の余地を与えよう。

「部下に学習してほしいと思うなら、ミスを許容し、それを正す方法を自分で見つけられるようにする必要がある」と、フェファーは言う。細かく指示を出したのでは、権限委譲の目的がすっかり損なわれてしまう。

だが、放任しすぎないよう気をつけることも大切だ。「細かく指示してはならないが、部下の仕事ぶりや進歩を評価できる態勢はとっていなければならない」と、ウォーカーは言う。部下に任せた仕事から完全に手を引いてはならない。引き続き関わりながら、主導権は部下に持たせよう。

より積極的に権限を委譲するようになったら、結果に関心を払い、自分のミスから学ぼう。自分のやり方をどのように微調整できるかを考えよう。部下にもっと複雑な仕事を任せられるか、より自由を与えるべきか、進捗状況をもっと細かく観察する必要があるか……といった点を検討するのである。練習期間中は自分のミスに寛容になろう。

「『自分が一番よく知っているのだから、なにもかも自分でやる』という考え方から、『部下に学ばせる』という考え方に移行している最中なのだから、焦ってはならない」と、フェファーは言う。時間がかかるかもしれないが、得るものは大きいはずだ。

(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)
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