悪者に追い詰められたヒーローが、高い橋の上から海に飛び込んで無事脱出――アクション映画ではよく見るシーンだが、本当に水の上なら、高いところから落ちても大丈夫なのだろうか。

力ずくの実験で人気のディスカバリーチャンネルの番組「怪しい伝説」が、このテーマに取り組んだ。落下スタントに挑戦するのは、自動車衝突実験用のダミー人形、バスター君だ。

バスター君に加速度センサーを組み込み、まずは高さ7.5メートルの位置から足を下にして、硬いアスファルトの上に落としてみる。グシャン! センサーがとらえた衝撃の最大値は60G。バスター君の足は折れてしまった。

高いところから落ちても、水の上なら大丈夫? 確かにアスファルトの舗装面に比べれば、落下時の衝撃は大幅に少なかったが……。(ディスカバリーチャンネル=写真提供)

次に同じ高さから貯水池に落としてみると、衝撃はセンサーの測定下限以下。バスター君の体を調べても、それほどダメージを受けたようには見えない。そこで高さを一気に22.5メートルまで上げて実験してみた。高々と水しぶきは上がったが、衝撃の値は29Gと、まだ最初の実験の半分以下だった。

飛び込みに失敗したときのように、腹から落ちたらどうなるか。7.5メートルの高さから、バスター君を腹を下にしてアスファルトに落としたときの衝撃は286G。一方、水面に落としたときは115Gと、足から落ちたときほど衝撃は弱まらなかった。

では、もっと高いところから落ちたら? 今度はヘリコプターで、180メートルの高さから、食肉用の丸豚を丈夫な袋に詰めて落としてみた。計算した落下速度は時速200キロ近く。衝撃がセンサーの限界を超えると予想されたため、袋の上からレントゲン写真を撮り、骨折の具合で衝撃を比較することになった。

腹から落ちる最悪の状況を再現するために小さなパラシュートを付け、同じくらいの大きさの丸豚をまずアスファルトに、続いて貯水池にドスン! レントゲン撮影をすると、アスファルトに落ちた丸豚は全身17カ所の骨折、とても生きてはいられないと思われる重傷だ。一方、水の上に落とした丸豚は、肋骨6本に首の骨1本の、計7カ所の骨折。損傷の度合いには明らかに差があった。腹からの着水を避ければ、さらに衝撃は減らせるだろう。

高いところから落ちるときは水の上に落ちた方がマシ、ということは証明された。もし悪者に追いかけられたら、この手で逃げられるかも――運よく首の骨が折れなければの話だが。