5000億円のリファイナンスと500億円の円借款再開の狙い

ヤンゴン中心部の「スレー・パゴダ」。周囲に市庁舎などが立ち並ぶ。

では、麻生副総理は、ミャンマーでいったい何をしてきたのだろうか。麻生氏は、首都ネピドーで、テインセイン大統領と会談を行い、昨年東京で開催されたIMF世界銀行総会でも支援を表明した日本宛ての5000億円の延滞債務のリファイナンスについて、政権交代後も引き続き継続する方針を伝えた。

そのうえで、1987年以来となる円借款の復活を宣言し、総額500億円の支援を表明。これを日本の商社連合が競り落とした「ティラワ経済特区」のインフラ整備事業をはじめ、電力インフラの整備や生活インフラの整備などに充当する計画だ。

もともと日本は、ミャンマーが軍事政権となる前は最大のODA拠出国だったのだから、ミャンマー政府も日本の援助の復活を歓迎しているはずである。しかし、喜んでいるのはミャンマー政府ばかりではない。。実は、この大規模な円借款は、結果的に同事業を受注する日系企業に還流される仕組みになっている。

延滞債務5000億円のリファイナンスと円借款の再開は、ミャンマーのインフラ整備事業を媒介して、日本企業の収益改善と債権者である日本国や銀行の資産の改善に寄与するというミラクルなスキームなのだ。政府が官民あげてミャンマー支援を行う背景には、こうした伏線もある。