上を動かすためにはどうすればいいのか

もちろん、一生懸命にぶつかるだけではなく、新しいことに挑戦し、なおかつ成功することが大事である。では、どういう人が成功するのだろうか。

私の経験では、まずは上を動かすためのコミュニケーション戦略を持つことだ。上司に対して何を実現したいかを持ちかけ、ゴーサインをもらう。だが、そのときに上司の逆鱗に触れてしまえば、あっという間に挑戦は終わる。

上司も人間である以上、好き嫌いや向き不向きはあるものだ。そこを無理やり突進しようものなら、必ず逆鱗に触れる。ならば、触れないように回り込んで接近するという技も使わねばならない。そのときに効果的なのは、仲間づくりである。同僚でも違う部の部長でもいい。周辺の人々に熱く語って自分の味方にし、「やってみるべきだ」という機運を盛り上げるのだ。

もし、それができないとしたら、その人はそれだけの人物だ。「会社にとって正しいことなのにゴーサインをくれない」「やらせてくれないダメ会社だ」と不貞腐れるのは、まったくの筋違いだと思ってほしい。

今や日本の伝統的な大企業も「内向きでやっている場合ではない。これからは新興国へ打って出る」というモードに完全に切り替わった。日本企業はコンセンサス形成に時間はかかるが、決断したらあとは、早い。日本企業は大変な推進力で新興国市場を席捲すると私は見ている。もちろんローソンも彼らには負けていられないのだ。

※すべて雑誌掲載当時

ローソン社長兼CEO 新浪剛史
1959年、横浜市生まれ。県立横浜翠嵐高校卒。81年慶應義塾大学経済学部卒業後、同年三菱商事に入社。2000年同社ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長に就任。02年ローソン社長兼執行役員。05年3月から現職。ハーバード大学経営大学院修了、MBAも取得。

 

(面澤淳市=構成 的野弘路=撮影)
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