新人事制度の導入で降格・降給は当たり前

統合作業で曖昧さが最も許されないのが昇給・昇進の鍵を握る人事制度だ。最近は年功色を完全に払拭した賃金制度をスピーディに導入する企業が増えている。その理由について電機メーカーの人事部長は「コスト競争力の高い韓国や中国と鎬を削っている状況で年功賃金を残すことは経営者の納得も得られない。固定費を抑制し、できるだけ業績に連動した変動費化する制度の導入は今や常識」と指摘する。

この電機メーカーは規模の小さい同業他社を吸収合併した。相手企業は年功的な処遇体系を残していたが、統合作業では年功賃金の廃止で押し切った。

「うちは年齢に関係なく昇給・昇進させる一方、成果が発揮できない社員は降格させるサバイバルな制度でした。相手企業は年功的な部分を少しでも残したいと食い下がりましたが『2つの制度を併存させるのは無理。合併した意味もない』と突っぱねた。相手の賞与も業績連動部分は低かったのですが、高めることにしました」(電機メーカー人事部長)

同社を含めて合併後の賃金制度の主流になっているのが「役割等級制度」と呼ばれているものだ。年齢や能力に関係なく本人が従事している職務や役割に着目し、同一の役割であれば給与も同じ。ポスト(椅子)で給与が決定し、ポストが変われば給与も変わり、当然ながら降格・降給が発生する仕組みである。

その電機メーカーは合併後、以前にも増して役割と業績でドラスチックに給与が変動する仕組みに変えた。

「全社員の職務評価を実施して新しい役割等級に格付けしました。全体の3割の社員は以前の給与より低い等級ですが、2年間は調整給を付与するので前と変わりません。しかし3年目からは等級に基づく給与しか払わない。今では等級が2段階上がり、課長が次長を飛び越えて部長に昇格し、一挙に500万円上がる人もいれば、逆に同じ部長でも業績が悪く、ボーナスが毎年100万円ずつ下がり、2年目に課長に降格させられた人も出ています。あえて若手を上のポストにつけてチャレンジさせる。だめなら降格という入れ替え戦をしょっちゅうやっています。たとえば部長が10人いれば、3人上げたいので3人を降ろすというようにフレキシブルに運用しています」