ケータイや専用端末でコミックや小説を読む電子書籍が活気づいている。IT技術関連メディア事業を手がけるインプレスR&Dが、通信事業者や出版社など47社に対して行ったヒアリング調査によると、2007年度の市場規模は355億円で、前年度に比べ約2倍に増えた。なかでもケータイ向け電子書籍は283億円と約8割を占め、伸び方も全体を上まわる2.5倍の勢いを示した。

こうした状況を、電子出版ソフトウエア開発会社であるボイジャーの萩野正昭社長は「モバイルの便利さと通信機能を併せ持つ携帯電話が、その強みを生かして、読者開拓の立役者になった」と分析する。しかも、ケータイの世界は文字どおり“秒進分歩”だ。ワンセグや「iPhone」の登場で、画面も見やすくなり、市場拡大にさらに拍車がかかることは間違いない。

ところで、電子書籍の人気を支えているのは、活字ではなくコミックである。人気雑誌に掲載され、単行本となった既存作品が次々と電子化され、現在流通するコンテンツの、8割がたを占めるようになっている。加えて、最近では、電子コミックを登竜門とした新人マンガ家の発掘も盛んだ。

いま、出版全体の市場は2兆円強といわれている。電子出版については、ハードおよびソフトが充実したことで、おそらく10年には1000億円の規模を突破すると見込まれる。ただ、萩野社長は「売れればいいという実績主義だけでなく、後世に残る仕事が必要」と話す。そして、それが電子書籍の評価を高めることにつながる。