こうした「見る人が見ればわかる高級商品に対して消費が高まる現象は、『ヴェブレン効果』から説明できる」と話すのは、マーケティングや消費者心理に詳しい、JMR生活総合研究所の松田久一代表だ。

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高級ブランドが売れる理由は、消費の「社会的な効用」による

「消費には、自分に必要なものを買うことで私的な効用を生むものと、他人がどう思うかを意識し、社会的な効用を生むものがあります。さらに後者から派生する効果には、集団心理による安心感から流行品を購入する『バンドワゴン効果』、希少性が高い商品に対して購買意欲が湧く『スノッブ効果』、他人が持っていない高級品を持つことで自己顕示をする『ヴェブレン効果』がある。一般的には手が届かないものの、雑誌などで話題のブランド靴を買うといった消費行動は、『ヴェブレン効果』の最たるものでしょう」(松田氏)

ヴェブレン効果をもたらす消費は古今東西で見られてきた。ただし、消費の対象は時代によって変わるもの。

「バブル時代は外車。いまの20代は自転車がそれに代わっています。ファッションアイテムは、いまなら男女ともに靴でしょう。男性にも『ジョン・ロブ』など、10万~20万円以上の価格帯の革靴が人気です。高級な靴を長く履くといった傾向も目を引きます」と、松田氏。たとえ家賃よりも高くても、一足10万円の靴は、不況でも揺るがない自分の格を演出する、マストアイテムといっても過言ではない。

※すべて雑誌掲載当時

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