6月、恋愛科学者のヘレン・フィッシャー氏が来日した。全米でベストセラーになった『愛はなぜ終わるのか』で、62の国や地域を調査し、「世界的にみて、結婚4年目の離婚が最も多い」との事実をつかんだ彼女。そこから、「恋愛は(人間の生殖本能から)3年で終わる」との説も広まった。

恋愛科学者ヘレン・フィッシャー氏。『女の直感が男社会を覆す』など、著書多数。

恋愛科学者ヘレン・フィッシャー氏。『女の直感が男社会を覆す』など、著書多数。

だが昨今の不況で、男女とも長く持続する温かな愛(結婚)を求める傾向が高まっている、とフィッシャー氏。

いわく、人間は不安が多い状況では自分にとって何が大切かを突き詰め、大きな決断を下すことが多い。その一つが「恋愛(結婚)」。恋人がいない男女の多くは、「本当の愛」を長く継続的に育める異性を強く求めるという。

確かに、昨秋のリーマンショックと相前後して恋愛・結婚マッチングサイトの人気はうなぎ上りだ。昨年9月から今年2月までの5カ月間で、「マッチ・ドットコム」の米国の会員数は25%増加。同時期、日本語サイトの会員も100万人に達し、11%の伸びを見せた。婚活ブームもあってか、伸びが顕著なのは「20代前半の女性」だそうだ。

他方の男性はといえば、「結婚には関心が高くても、不況でそれを先送りする傾向が強い」とフィッシャー氏。男性は「誰かに何かを与えることで、必要とされる存在になりたい」との欲求が強いから、「結婚はもっと稼いでから」と考えやすい、という。

では、年収が上がらないと男性は結婚できないのか? そうではない。米国では、すでに婚姻カップルの3~4分の1が「妻が夫より高年収」。年下男と交際する女性も「Cougar(ピューマの別称)」と呼ばれ、近年の流行語だという。不況下では、「男が稼がなければ」の概念を捨て、「高年収(年上)の女性を温かな愛で支えよう」と覚悟する男性のほうが結婚しやすい。それが、世界的に言える真実のようだ。

(撮影=小川 聡)