相手に惚れて、惚れて惚れぬいた瞬間に落ちる

情報を得るうえで、私が最も心がけているのは、一次情報を得るということです。政治家や経営者、あるいは先端技術など各分野の専門家にしても、できるかぎり当事者に会う。私が得ている情報の7~8割は一次情報です。

<strong>ジャーナリスト 田原総一朗</strong><br>1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、フリーに。「サンデープロジェクト」「朝まで生テレビ!」(ともにテレビ朝日系)で司会、雑誌「オフレコ!」では、編集長もこなす。『国家と外交』(共著)、『テレビと権力』など著書多数。
ジャーナリスト 田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、フリーに。「サンデープロジェクト」「朝まで生テレビ!」(ともにテレビ朝日系)で司会、雑誌「オフレコ!」では、編集長もこなす。『国家と外交』(共著)、『テレビと権力』など著書多数。

新聞は勿論読みますが、それはヒントを得るため。現在取っているのは朝日、毎日、読売、日経、産経の五紙です。政治面でも経済面でも読んで刺激を受けた情報があったら、「読んで終わり」にしないで当事者に会う。「記事ではこうなっていましたが、どういうことですか」と確かめます。

新聞やテレビは悲観的な情報を好みます。景気は悪くなる、安倍内閣は駄目になる……と、なんでも悲観的に言う傾向がある。そのほうが、「この先、いったいどうなるのだろうか?」と、人々の関心をそそることができるからです。

だから、新聞やテレビの情報は鵜呑みにしない。情報は自分の足で稼ぎ、確認することが大切です。最近はテレビのスタッフも、すぐグーグルやヤフーで検索して、それで済ませようとします。だから私は怒るのです。「ネットに出ている情報は情報ではない。出た瞬間に古くなっている。われわれが掴まなければならないのは、グーグルやヤフーや新聞に出る前の情報だ」と。

各種の統計や数値も、そのまま信じないこと。たとえば、最近は格差問題に関して「サラリーマンの賃金は上がっていない」という統計がよく使われます。しかし、実際に調べてみると、高齢者(高給層)が大量に定年を迎え、景気回復で新入社員(低給層)の採用数が増えたことが平均給与を押し下げているのです。