2011年4月12日(火)

なぜウチのカレーは高くても売れるのか?

不況脱出「客の『購入脳』を動かすトップの知恵」【壱番屋 宗次徳二創業者特別顧問】

PRESIDENT 2009年11月30日号

野地秩嘉=構成 山口典利=撮影
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「1日1000通」すべての声に目を通す

CoCo壱番屋は日本最大のカレーチェーンだ。1978年、名古屋市の郊外に第一号店をオープン、今では1207店を擁する巨大チェーンとなった。年間の売上高は699億円(2009年5月)。

創業者で現特別顧問の宗次徳二は幼いときに施設へ預けられた。彼は本当の親を知らないし、本当の名字も知らない。そうしたハンディキャップをものともせず、高校を卒業後、懸命に働いた。02年、53歳で引退するまで、年間5000時間以上も働いたこともあるという。お盆も正月も休まずに、CoCo壱番屋を大きくしてきたのである。そんな彼の基本姿勢は「ライバルを気にするな。自分の店を自分の目で店舗に赴きチェックし、お客さまを見ろ」ということだ。

<strong>壱番屋 宗次徳二創業者特別顧問</strong>●1948年、石川県生まれ。生後まもなく兵庫県の孤児院へ預けられ、宗次家に養子へ。愛知県立小牧高校卒業後、大和ハウス入社。独立して喫茶店を経営。78年「CoCo壱番屋」1号店を開店。98年会長、2002年より現職。
壱番屋 
宗次徳二創業者特別顧問

1948年、石川県生まれ。生後まもなく兵庫県の孤児院へ預けられ、宗次家に養子へ。愛知県立小牧高校卒業後、大和ハウス入社。独立して喫茶店を経営。78年「CoCo壱番屋」1号店を開店。98年会長、2002年より現職。

――私は同業者の動向を気にしたことはありません。ほかのカレーチェーンへ入ることもないし、今、話題の300円弁当を気にすることもありません。他店のことを考えるよりも、自分たちの商売に徹するのがうちのやり方です。

大切なのはお客さまが何を欲しているのか。私は常にそれだけを考えてきました。自分たちの考えが正しいかどうかを教えてくれるのはお客さまだけだと思っています。それに、うちはただの町の食堂ですから、難しいことを考える必要はないんです。

CoCo壱番屋のカレーは個性があるわけじゃない。値段も安くはありません。ラッキョウだって、無料でなく、ひと皿で30円いただいています。町の食堂として、普通の味であればいいんです。

ただし、創業の頃から、ほかのカレー屋さんとは違うことをやっています。それは熱々のカレーを提供すること。ほかはたいてい、大鍋でカレーを温めて、そのままライスの上にかけます。しかし、うちでは27人前の大鍋で70度から80度に保温しておき、お客さまからオーダーが入ったら、一人前ずつ小鍋で再加熱し、温めます。沸騰させてしまうと、カレーの香りが飛んでしまうので、直前で小鍋を火から下ろす。加えて、皿もウオーマーで温めておきます。私は喫茶店の店主から出発しました。喫茶店でコーヒーを出すときは必ずカップを温めます。それと同じ気持ちで、第1号店で、初めてカレーを出したときから、現在まで、皿を温めています。

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