私に言わせれば、60歳以上を「老人」と呼ぶこと自体が間違っている。そこにもまた、心理に起因する一つの誤解がある。それは、平均寿命と残存寿命(平均余命)のズレに気付いていないことである。

現在、日本の平均寿命は男が79歳、女が86歳である。よって60歳で定年退職した男性は、「あと20年か。そのうちの何年かは寝たきりなんだろうな」と考えてしまう。

だが、平均寿命というのは、今生まれた赤ちゃんが平均何年生きられるかという数字であって、その統計には若くして死んでしまう人も含まれている。よって、60歳まで無事に生きた人の残存寿命というものは、平均寿命を基準に考えてはいけないのだ。