解決までに時間がかかることもあるが、急いでも決してよい結果が生まれないと判断した場合は、本人が気づくまで待つのもマネジメントとしての仕事のうち。

「とにかく気づくまでじっと待つしかありません。胃に穴が開きそうになることもありますけどね」と小河は苦笑する。

時には派遣のスタッフから、直接、仕事に関する相談を受けることもある。そんなときは、チームリーダーに対して、「こんな話を聞いた」とストレートには言わず、「そういえば、ここどうなっているの?」といった具合に、自分が気づいたかのようにして確かめる。間に立つ管理職の立場も考えつつ問題解決をしていくには、そうした配慮が大切なのだ。

研修を延長しても不安を払拭させる

小河が入行したのは、1988年。男女雇用機会均等法が施行された翌々年である。当時はまだ、男性と肩を並べて働く総合職を選ぶ女性は少なく、彼女も一般職として就職した。

横浜ダイレクトバンキングセンター/現場で働く受電スタッフの中には行員も含まれているが、多くは女性の派遣社員たちだ。「職場の主役はコミュニケーター。いつでも行員やベテランのスタッフがバックアップする、そんな女性にとって安心して働ける職場の空気をつくっていきたい」と小河所長は語る。

が、入行してみると、同期の男性はさまざまな仕事を与えられるのに比べ、自分は一般職というだけで仕事が限定されてしまう。納得ずくで入ったとはいえ、いざ仕事を始めるとそれが悲しく思え、総合職の試験を受けようと決意した。

「いろいろ苦労しました」と小河は冗談めかして語るが、一般職という、当時の女性として多数派のスタートラインから仕事を始め、人一倍の努力をしていまの場所まで到達したという経験が、管理職となったいまに生かされているのだろう。

だからこそ、小河は、派遣の女性に対してもきめ細かく目を行き届かせる。

別々の分野を担当してきた2チームを統合することになったときのことだ。部署の統合などは、企業に勤めていればよくあることだから、大騒ぎしなくても、と思うかもしれないが、電話の対応にあたる多くのコミュニケーターにとっては一大事である。いままでの知識に加えて、新たな商品知識を1から身につけなければならないからだ。