適材適所の結果の不平等は仕方ない

チームとして成果を出そうとすれば、適材適所で、それぞれの強みが活きるように仕事をふっていく必要があります。その結果として、優秀な部下ほど重要な案件を手がけることになるのは仕方がない。実績のなかなか上がらない部下にもチャンスを与えて成長を促しつつ、チームとして最高の成果が出せるように仕事をうまく割り当てていく。矛盾する二つの課題をバランスよくコントロールしていくのが上司の役目です。

適材適所で仕事を与えるときには、「WHAT」と「WHY」の説明が大切です。何をやってもらいたいのか。それはなぜ必要か。部下にそれらを伝えて、自分で「やってみよう」と決断させると、納得して仕事をするはずです。

いろいろ工夫をしても、不公平だと文句を言う部下が出てくるかもしれません。やるべきことをやっているならば、そうした声を気にする必要はありません。上司が意識の低い部下と一緒に地を這っていたら、チームは機能しない。上司は高い意識を持ってマネジメントにあたるべきです。

極論すれば、贔屓して部下に嫌われてもいいのです。重要なのは、贔屓の裏側に正しさがあるかどうかです。能力や結果でなく好き嫌いで部下を選り好みしたり、自分の手柄のために部下の扱いに差をつけるのは、正しいといえません。部下のため、あるいはチームのために贔屓していると胸を張って言えるかどうか。そこにブレがなければ、いずれ部下もわかってくれるのではないでしょうか。

リーダーズアカデミー学長 嶋津良智
1965年、東京都生まれ。日本唯一の上司学コンサルタントとして、講演・企業研修・コンサルティングを行う。著書に累計55万部のベストセラー『怒らない技術』や『だから、部下がついてこない!』など。
(構成=村上 敬)
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