「ヤベェな、世界」と思って

太田佳奈さん(聖ウルスラ学院英智高等学校2年生)。

太田佳奈(おおた・かな)さんは、仙台市にある聖ウルスラ学院英智高等学校2学年(尚志コース文系)。同校は1959(昭和34)年に開校、幼稚園から高校までを一貫で持つミッションスクールだ。高校には現在864人が通う。インタビューの中盤、太田さんが言ったことばが、同校の宮城県内でのポジションを簡潔に説明してくれる。

「ウルスラ、ちょっと自慢していいですか?」

どうぞ。

「宮城県内で一番人気なんですよ。1000人超えるんですよ、受験者が」

2年生の生徒数は276人。なるほど倍率は高い。さて太田さん、将来は何屋になりたいですか。

「具体的には決まっていないんですけど、海外青年協力隊に参加したいって思ってます。いろんなところで子どもに関わる仕事をしたいので。わたし、小学生のころからいろんな活動をしていて、たとえば、多賀城市で主催する3泊4日のキャンプに参加したり、県内の『少年自然の家』とかいろんなところに行ってて。そのお世話をしてくれたジュニアリーダーが、かっこいいなと思って、中学生のときにジュニアリーダーに入って、こんどは自分で小学生を引率するようになりました」

それが「海外」につながっていくきっかけは何ですか。

「本です。小学校では、ずっと図書室にいて。たとえば『世界の料理』みたいな本を見て『ヤベェな、世界』と思って(笑)。ジュニアリーダーみたいなことしながら、世界に行こうとするにはどうしたらいいのかなと調べると、海外青年協力隊というのがあると知って。こういうのに参加したいなと思って。でも、協力隊って、資格持っている理系の人が多いみたいで、『自分、文系だし、どうしよう?』って。でも、世界の貧困地域に行って、子どもたちにサッカーボールを配るような活動もあるみたいで、(文系でも)いいかなと思って」

「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」のプログラムの中では、文字どおり「世界の貧困地域に行って、サッカーボールを配る活動」をしている団体「One World Futbol Project」のスタッフがスピーカーとして参加した。ということは、太田さんはその人の話を聞いたわけですね。

「残念ながら、機会ありませんでした……。自由に話していい時間のときに見つけられなくて……。ああいう活動がいいなって思ったのは、単純なんですけど、子どもたちを笑顔にするって素晴らしいと思ったからなんです。ジュニアリーダーをやるようになって、小学生から学ばせてもらう立場になってみて実感したのは、子どもを笑顔にすることは難しいってことです。でも、子どもが笑顔になれば、保護者の方も『遊んでもらえてよかったね』って笑ってくれるんですよ。子どもを笑顔にできたら、少しずつ笑顔の輪も広がって行くんじゃないかなって。笑顔にできる仕事って最高だなって思って」

子どもの笑顔が世界の平和につながる云々。意地悪に言えば”よく聞く話”だ。だが、太田さんのこのことばは、ちょっと重みが違った。ひとことで言えば経験値が高いのだ。そのことは「太田さんが就きたいと思ってる仕事に就くためには、何が必要だと思いますか?」という問いへの答えの中にあった。

(明日に続く)

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