死に方

「僕は自分の体にメスを入れるのを禁じている。肉体を傷つけることを禁じているんだ」

鈴木修は胃瘻ろうをはじめ、その他もろもろの延命処置を拒否している。

「PPK(ピンピンコロリ)が、今後の夢だ」

元気に長生きし、病まずにコロリと死のう、という意味。

「後期高齢者の税金はいくらでも払うから、自分はもうPPK。それだけだよ」。この発言に対し、筆者が「本人はPPKでいいでしょうが、会社はどうなるのですか」と水を向けると、鈴木修は「いやいや、そんなのは何とかなるよ。ケェ、セラ、セラだ」と笑う。

するとスズキ関係者から「いま死なれたら困ります」という声が上がった。鈴木修は、これに答えて一言。「そのときには、戻ってくるわ」。

やはりユーモアが絶えない。もう1つ、最後におまけを。

「ヘンなことは、もう書くなよ。『プレジデント』に」と笑いながら言われたが、その眼は笑ってはいなかった。大丈夫だろうか……。

(永井 隆=撮影 ロイター/AFLO=写真)
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