ただ、商品の性質上、積極的にキャピタルゲインを狙って売買を繰り返す商品ではない。どちらかといえば、長期保有を前提にして、高い分配利回りを享受するという投資法が望ましい。仮に5%の配当利回りであれば、保有期間10年で、投資元本の半分まで分配金を積み上げられる計算になる。つまり、現在の株価が半値程度まで下がったとしても、最初の投資元本を割り込まずに済む。

長期保有を前提にしてJ-REITに投資する場合は、まずスポンサー企業がどこなのかを確認し、その信用力をチェックすること。スポンサー企業とは、J-REITの設立母体のことだ。J-REIT各社は格付けを取得しているので、それぞれのホームページでチェックすればよいだろう。

スポンサー企業の信用力が低下すると、J-REITの資金調達力に影響を及ぼす。資金調達力が低下すると、ファンドに組み入れる物件が購入できなくなる。J-REITは、株式発行によって調達した自己資金以外に、銀行からの借り入れや、投資法人債発行によって調達した資金で、物件を購入する。よりよい物件を購入できれば、ファンドの分配利回りが向上したり、あるいはファンドの価値そのものが高まって、株価の上昇につながったりする。逆に、資金調達難に陥ると、こうした利回りを向上させるための施策が打てなくなるのだ。

堅調に推移しているJ-REIT市場だが、懸念材料がないわけではない。株価が変動するリスク商品なので、欧州債務危機の再燃など、マーケット全体がリスク回避の動きになると、株価には下落圧力がかかる。また、これは大分先の話になるだろうが、長期金利が上昇し、J-REITの分配利回りに接近すると、マイナス要因になる。投資する場合、この点には注意したほうがいい。

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