未曾有の被害をもたらした東日本大震災からまもなく2年。大震災は、これから住宅をもとうとする人に大きな意識変化をもたらした。国土交通省が2012年1月末~2月に実施した国民意識調査で、震災後に重視する住宅性能について尋ねたところ、「耐震化や免震化等、地震に強い家」が最も多く67.5%。次いで「省エネに優れた家」54.0%という結果となった。地震に備えたい気持ちは当然のことだろう。

年々強化されてきた
地震対策

歴史を紐解いてみると、日本ではこれまで、大きな地震が起きるたび、住宅における耐震対策が強化されてきた。

例えば、1986年には建築基準法が大改正された。現在まで続く「新耐震基準」が定められたのはこの年だ。きっかけとなったのは、1978年の宮城県沖地震。新耐震基準では、「中規模程度の地震には建物の被害がほとんどなく、あっても補修程度で住み続けられる」ことを前提にしている。加えて「100年に1度、あるかないかの大規模な地震では、建物に被害は出るが倒壊せず、居住している人の命は守ること」を目標にしている。

また1995年に起きた阪神・淡路大震災の後、2000年に建築基準法が改正され、筋交いや壁のバランス、使用する金物の強度などが規定された。さらに同年、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、「住宅性能表示制度」ができた。これは、任意の制度ではあるが、住宅の性能を共通のモノサシで評価するものだ。これで、耐震性が等級1~3で表されるようになった。

このようにみてくると、住宅をこれから購入、建築する人は、かつてと比べて「地震に強い家」が入手可能になったといえるだろう。あとは、地盤選びを確実にし、さらに個人で家具の転倒対策や防災備蓄用品を充実させ、長期間、その住まいで暮らせるようにすることだ。

「助け合い」の視点から
見直される二世帯住宅

“ハード面”の対策はクリアできたら、次は“ソフト面”だ。大地震に対する備えは、建物を頑強にするだけでは不十分。いざというときのため、近隣、親子、職場などと「助け合い」の関係を構築しておくことが重要だ。

ここで、最も近い関係である「家族」にいま一度、目を向けたい。先ほどの国民意識調査で、「東日本大震災後の考え方の変化」について聞いたところ、1位「防災意識の高まり」(52.0%)、2位「節電意識の高まり」(43.8%)に続いて、3位には「家族の絆の大切さ」(39.9%)との回答が寄せられている。

このためか、震災後に親子が同じ敷地内に居住する二世帯住宅が見直されている。東日本大震災が起きた当日は、首都圏でも携帯電話がつながりにくく、安否を知るのに苦労した経験をもつ人は多いはず。親子、家族が同じ敷地に居住すれば、日頃から助け合え、災害の際にも心強い存在になり得るだろう。

二世帯住宅といえば、以前は玄関やキッチンなどを完全に分離したタイプが多かった。しかし最近では、玄関や浴室、居間など、室内の一部を親子で「共有」するプランも人気を集めている。親世帯にとっては子どもや孫が近くにいる、子ども世帯にとっては、親の様子が分かるうえ孫の世話を頼める、というそれぞれの思いが背景にあるのかもしれない。

ところで、室内の一部を共有するプランにすると、同居とみなされ、相続の際に相続税評価額が80%に減額される「小規模宅地等の特例」を受けられるケースがある。これは例えば、父が他界し母と子が敷地を相続した際に、母と子世帯ともに相続税が軽くなる制度だ。この特例は2010年に一部内容が改正された。以降、敷地を相続した子どもが同居していないと判断されると、子どもは軽減措置を受けられなくなった。室内で階段やドアなどで往来できない完全分離型の二世帯住宅では、子どもが同居していないとみなされるようだ。プランを作る際には、この点も参考にしたい。

大震災をきっかけにした、古きよき暮らし方の見直し。一方で、それは地震に対応する新しい住まい方でもある。これから家を建てる方には、ぜひハードとソフトの両輪で、安心できる暮らしとは何かを考えてほしいところだ。