堤清二氏をライバルと見立てた新人時代

クレディセゾン社長 林野 宏氏

ビジネスは今、「K1」の時代。100%本気の格闘技の様相です。景気がいい頃は市場が成長し各社はそのパイを分け合った。それはバトルロイヤルのようで一見派手ですが勝ち負けが明確ではなく、ダラダラと試合が続くような印象でした。しかし現状は、やるかやられるかの真剣勝負で1秒たりとも気が抜けません。

もとより資本主義における企業の本質は、競争です。日々少しずつ価値観が変化する顧客の支持を取り付ける競争が続くのです。

21世紀を勝ち抜くのに重要だと私が考えるのは創造的破壊。誰かのイミテーション(模倣)ではなく、マーケティングを超えて全く新しいイノベーションを起こすことです。そのためには社員が強くなければなりません。当社では中途採用を重視しており女性の幹部登用も積極的に行っています。多様性を重視し社内をある種のカオスにすることで、社員間に健全な競争が生まれると考えています。

では競争の激しい社内でライバルに勝つにはどうしたらいいか。結論を言えば、自らが高い志やビジョンを持つことが大切です。自覚が、自己を鍛え、結果的に人より秀でるきっかけになるのです。

私は大学卒業後、西武百貨店へ入社しました。その頃の西武には、社長の堤清二さんという絶対的な存在が君臨していました。しかし、新人の私は当時から「社長に勝ちたい」と、勝手に堤さんを仮想のライバルに仕立てていました。39歳のときに今の会社(当時は西武クレジット)にうつってからも同じ志を抱き続け、2000年に社長に就任しました。