では、それはどのようなものなのか。それを知るには、「気配り」というものが、一般にどのような思考プロセスを経て実行に移されるか、その流れを見ておく必要がある。図2に基づきながら、説明していこう。

【ステップ1:事象認識】最初に必要なのは、事象を認識することである。考察対象として意識すると言い換えてもいい。図の例で言えば「今日は寒いらしい」ということを認識するところから、すべては始まることになる。

【ステップ2:影響判断】次のステップは、その事象に関して、それが誰にどのような影響(快や不快)をもたらすかを推測ないし予測することである。例で言えば、外から帰ってくる人の体が冷えていること、そしてそれが辛いことであることは、容易に予測されるはずである。

【ステップ3:目標設定】さて、そうした事態が仮に予測できても、それで何かしようと思うかどうかは、その人の思考のあり方にかかっている。動くためには「他人の不快を除去・軽減する」という、利他的な目標設定を頭の中ですることが必要である。例で言えば「外から戻ってくる人たちの、冷えた状態(不快)を解消する」ことを目標として設定することが、ここで実行されねばならない。

【ステップ4:施策案出】この目標設定を受け、私たちの頭はそれを実現するための施策を案出しようと回転を始める。「熱いお茶を出す」とか「暖房を最強にする」とか、あれこれ考える。そして実現可能な施策の中で、有効性が高いと思われる施策を、最終的に実行するものとして選びとることになる。

【ステップ5:実行(の選択)】だが、これでもまだ思考は完了しない。施策を実行に移すかどうかも、実は思考の結果だからである。頭では「そうしたほうがいいな」と思いながらも、面倒くささなどから事をなさないことは、私たちの日常の中には、いくらでもある。そうした方向に向かわせず、自分を実行へと導く思考ができるかどうかが問われるのである。

次ページの診断は、5つの思考ステップに関して、その能力レベルを問うことで、あなたの現時点での「気配り力」を推測しようとするものである。ぜひチェックしていただき、今後への参考としていただきたい。