その地図は「何に基準を置いて」描かれているのか

社会科の授業で習った世界地図を思い出してみてください。「メルカトル図法」「モルワイデ図法」「正距方位図法」。

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「何に基準を置くか」で見え方はさまざま

地図学では、球体である地球を二次元平面上に表現するための多くの「投影法」が存在します。この3つの図法はその代表的なものです。「メルカトル図法」は、等角航路(地球上の2点間を結ぶ航路のうち、進行方向が経線となす角度(舵角)が常に一定となるもの)が直線で表されるため、海図用地図として使われてきました。「モルワイデ図法」は、地図上の任意の場所で実際の面積との比が等しくなる正積図法のひとつで、主に分布図で使われます。「正距方位図法」は、中心からの距離と方位が正しく記され、地球全体が真円で表される図法で、飛行機の最短経路(大圏コース)や方位を見るために使われます。

ひとくちに世界地図と言っても、「何に基準を置くか」で見え方はさまざまです。

さて、私に戦略コンサルティングの世界に足を踏み入れるきっかけを与えたのは、大前研一氏の『平成維新』『ボーダレス・ワールド』『世界の見方・考え方』など、氏の一連の著作群でした。当時、マッキンゼー・アンド・カンパニーのディレクターで、日本支社長及びアジア太平洋地区会長を務めていた大前研一氏の提言の視点・視座・切り口の斬新さは、大学生の私にとって余りにも大きな衝撃でした。20年以上経った今でも、各著作の表紙デザインまで鮮明に記憶しているほどです。

中でも『平成維新』の表紙に掲げられていた世界地図は、私の脳裏に焼き付いています。この世界地図には‘World View through GNP’というタイトルが付いています。通常、世界地図は各国の大きさがその国土面積を表しますが、この地図では、GNP(Gross National Product、国民総生産)の額を表しています。この風変わりな世界地図は、「ゼロベース」で世界を見る「きっかけ」を与えてくれるのです。

残念ながら『平成維新』は絶版で、今や新本の入手は困難です。しかしながら、世界銀行(World Bank)の「世界開発報告書2009 (World Development Report 2009)」の序章”Geography in motion: The Report at a Glance - Density, Distance, and Division”に、同様の視点で作成した世界地図が掲載されているので紹介します(3ページ目、PDF)。