神さまに何かを「お願い」するのではない。むしろ、神さまの前で、「自分はこんなことをする」と誓う。あくまでも、事を成すのは自分自身である。手を動かし、智恵を働かせ、一生懸命に動く。その心の準備を整えるために、神前で祈ることが有益である場合があるのだ。

たとえ、ビジネスの99%は緻密なロジックや経験上の証拠に基づくとしても、最後の1%に、気合というか、勢いというか、精神性が必要とされる。神社に参拝する現代的な意義は、その1%の心を整えることにある。

この文章は、世界遺産に登録されている熊野本宮大社の近くの宿で書いている。宮司の九鬼家隆さんのお話によると、世界中を飛び回っている若き起業家が、関西空港から直接車で熊野に参拝し、その後東京に帰る、というようなことがあるのだという。

若き起業家は、決して神頼みに来ているのではなく、むしろ忙しい日常の中で、心を整える一つの句読点として、熊野本宮までの長い道のりをやってくるのだろう。

精神だけでは勝てない。かといって、心は無視できない。心を整える方法論を、現代人はもっと考えたほうがよいのではないか。

(写真=AP/AFLO)
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