「誰をバスに乗せて、誰をバスから降ろすのか?」

全米で5年間にわたるベストセラーとなった『ビジョナリー・カンパニー ~時代を超える生存の原則~』の続編、『ビジョナリー・カンパニー2 ~飛躍の法則~』を読んだ方であれば、何の話かすぐに分かることでしょう。著者ジェームズ・C・コリンズは、経営者にとって、人を育成することではなく、人を選択することが優先課題である、と指摘しました。多くの経営者が人の育成と管理に焦点をあてるなか、「誰をバスに乗せて、誰をバスから降ろすのか」という比喩を使い、誰を選択すべきか、という課題を投げかけたのです。

「飛躍の法則」という副題が示す通り、この著書でコリンズは、「良好な企業から偉大な企業へ飛躍を遂げ、その実績を少なくとも15年にわたって維持してきた11社」に共通する要因を明らかにしています。コリンズはこう言います。

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今回の調査を始めた時、良好な企業を偉大な企業に飛躍させるためには、新しい方向や新しいビジョン、戦略を策定し、次に新しい方向に向けて人々を結集するのだろうと我々は予想していた。調査の結果は、全く逆であった。偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずバスの目的地を決め、次に目的地までの旅をともにする人々をバスに乗せる方法をとったわけではない。まず適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。

“このバスでどこに行くべきかは分らない。しかし、分っていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ”
------{引用部分終わり}-------

確かに、その通りです。「何をすべきか」は環境によって変わり得ます。「バスの目的地」、即ち、新しい方向や新しいビジョン、戦略に共感した「だけ」の人たちばかりがバスに乗っていると、環境変化が起きた途端、組織は混乱に陥ります。「プランB」(※)の実現など、夢のまた夢です。一方、適切な人、即ち、同乗者に共感した人たちりがバスに乗っていると、環境変化に対する柔軟性は高まり、「何をすべきか」を考え続けることができるでしょう。動機づけの強化や管理コストの低減にも繋がるはずです。

※プランB: 業界の地図を塗り替えるような破壊的アイデアは、プランA(最初のプラン)から生まれるのではなく、その失敗を検証することによって生まれるプランBによって成し遂げられる、という概念。アップル、ザラ、アマゾン、グーグル、トヨタ、ペイパル、スカイプ他、20社の研究調査に基づく、ジョン・マリンズとランディ・コミサーによる著作で有名に。