Type1:上意下達型

上の指示に唯々諾々と従い、検証することなく部下に丸投げする旧来型の典型的上司。IT関連企業の人事部長は「役員とのつきあいを大事にし、土日はゴルフばかりして、それだけで管理職になった人。職場でも遊びの話が大好きで、そのくせ丸投げされた部下が文句を言ってくると『部長がそう言っているんだからそうしろ』と有無をも言わせない。自分で具体的プランを考えることもなければ、かみ砕いて部下に説明することもしない手抜き上司」と説明する。

金融業の人事部長はそれに加え、「命じた仕事で部下が失敗すると、先方に出向いて土下座しかねないほど、ひたすら謝罪することも惜しまない。謝罪して一件落着と考えてしまう。部下の失敗を代わりに謝罪するのも給料のうちに入っていると思いこんでいる人」と指摘する。

以前は部下が知らない情報を上司が握り、情報をコントロールすることで部下を操縦することができた。しかし、今は上の指示もそれほど確かなものではない。キリンホールディングスの三好部長は「変化の激しい今は上も情報に確信が持てないし、ましてや上だけ知っていて、下が知らないようでは変化に対応できない。とくに未知の領域に挑もうとする場合、役員や部長もマネジャーより知っているわけではない。自ら主体的に動き、部下をまとめ上げることができない指示型マネジャーの出世は難しい」と語る。

Type2:「俺の背中」型

営業バリバリで抜群の成績を挙げて管理職に登用されたが、部下の指導や育成が苦手なプレーヤー型上司。金融業の人事部長は「部下に仕事を与えても、成果が上がらないことに業を煮やし、がまんできずに自分でやってしまうタイプだ。自分ができるのだから部下もできるはずと勘違いしている。今は、自分の背中を見て学べというほど時間の余裕がある状況ではない。どんなに優秀でも部下を育成できない上司は、スタッフに降りてもらうことにしている」と話す。

マネジャー1人ががんばっても稼ぎはしれている。サイバーエージェント曽山本部長は「組織として大きな成果を出すには1人では無理。1人でも多くの人材の可能性を引き出すことが大事だ。当社ではマネジャーに目標力、役割力、評価力の3つの習慣を励行している。目標力は部下が自走できる目標を与えること、役割力は成果が出せる配置をする、評価力は部下を納得させる力だ。目標を決め、役割を与えて評価することができれば成果を出せる。マネジャーにプレーイングの要素はいらない」と断言する。

キリンホールディングスの三好部長も「育成ができない人はだめ」と言い切る。

「キリンの強みはチーム力。それを引き出すのがマネジャーの仕事だ。部下の仕事ぶりに不安を感じ、押しのけて自分でやってしまっては部下が育たない。マネジャーは若手をあずかり、戦力化するという中・長期的な経営課題を担っている人でもある。大切な資産である社員を育成する意識がないのであればマネジャーから降りていただかないといけない」