今回は、一足お先に2012年の総括をしてみたいと思います(※メール掲載時点(10月)の原文のまま掲載しています)。「飲食業界全般」と「食品・飲料」のカテゴリーにわけて、目立ったトピックについて触れてみることにします。

飲食業界全般——新設商業施設、これからどうなる

今年は新しい大型商業施設のオープンラッシュでした。4月には「東急プラザ表参道原宿」と「ダイバーシティ東京」、「渋谷ヒカリエ」が、そして5月には「東京スカイツリー(ソラマチ)」が開業しました。さすがにどこもまだオープンから半年程度なので、観光客を中心に大勢の人が訪れているようです。ただし、開業から1年も経つとその様相も変わっていくと思われます。

以前、メルマガでも触れましたが、個人的には駅直結で「広義の駅ビル」と位置付けられるヒカリエは強いのではないかと考えています。お台場やスカイツリーは休日はもちろん賑わいますし、平日も昼間であれば観光客がきちんといるでしょうが、夜の時間帯はかなり厳しいと思っています。ですので、これらの施設内のディナータイプのレストランの中には早々に苦しい状況に陥る店が出てくることでしょう。

先日、銀座で雑居ビルの上に入っているなかなか素敵な飲食店を訪れました。わかりにくい場所ですし、古めかしいエレベーターに揺られなければいけませんが、店は平日の雨降りの晩にもかかわらず、大変繁盛していました。かたや銀座という街においては、華やかな商業施設のレストランフロアには人がおらず、経営的には苦しい店ばかりという状況もあります。

これからの時代、私は飲食店の主戦場は「便利な駅ビル」と「魅力的な街場」に明確にわかれていくと考えています。ターミナル駅に隣接する駅ビルの利便性は多くの人から必要とされています。そして、それほど食への思い入れのない人(実はこういう人の方がマジョリティだと思います)にとっては、そうした便利な場でまずまずおいしいものを食べられれば十分でしょう。よって、駅ビルのポテンシャルは今後も極めて高いと思います。

一方で本当においしい料理を出す店や居心地の良い店は、街の路面あるいは先に挙げたように雑居ビルなどに隠れていることもあるでしょう。そうなると今後一番苦しいのは、中途半端な商業施設だと思われます。ターミナル駅から微妙に遠いとか、規模がそれほど大きくないとか、そういう施設はすでに集客で大変苦労しているところが見受けられます。飲食店の関係者の方は、そうした施設の見極めが強く問われています。