セールスにおける感情移入の目的は「受注」につなげること。顧客の懐に入るための5つのコツを教えます。

一見漠然としている「感情移入力」を、ここでは以下の5つに分類して紹介する。

エンパシー力を構成する3つの要素
図を拡大
エンパシー力を構成する3つの要素

顧客と感情をともにして、一緒に考えようとする能力をエンパシー(共感)力という。感情移入にあたってこの能力が必要な理由は、想像力を働かせて相手の気持ちや考えを理解できても、それに共感せず否定してしまった瞬間にコミュニケーションが成立しなくなるからだ。

「あの人の話は素人の考えだ」

このように営業担当者は顧客の考え方を否定しがちだが、意見が違っても相手に共感することはできる。そのためにはエンパシー力を構成する3つの要素を理解することが必要である。

1つ目は、相手の意見や考え方を尊重すること。基本的に他人と意見が100%一致することはありえない。まして売り手と買い手の立場では利害が食い違う部分もあるだろう。このとき、自分と異なる意見を頭から否定せず、異なる意見を持っている人がそう考えている根拠を知ることが重要である。

たとえば商品の品質を説明している最中に、「そんなことより大切なのは値段だ!」と言われたら、「なぜこの人は値段ばかり重視するのだろう?」と考えられるかどうか。見切ってしまうのは簡単だが、異なる意見を尊重し、その理由を探っていけば、ビジネスのヒントにつながっていく。