会社の評価の基準が変化するなか、どんな働き方が求められているのか、社員の悩みは尽きない。年代別「手放せない社員」の条件を明らかにする。

平井孝志さんのアドバイス

ローランド・ベルガー パートナー 
平井孝志氏

40代も半ばを過ぎたら、「自分の枠を広げる」ことを意識しましょう。長年営業マンとして過ごしてきて、それなりの成果を挙げてきた人がいたとしたら、社長の立場から今の営業体制の問題点を考えてみるのです。あるいは開発側から何か改めるべき点はないかを考えてみると、顧客のニーズを商品開発の現場にすばやく取り入れる仕組みが考案できるかもしれません。

大企業の役員に上り詰める人や経済界に大きなインパクトを与えるような人は、一企業レベルから業界レベル、さらには国家レベル、地球レベルにまで、枠を広げて考えるのが習い性になっています。

以前に食品業界の企業のコンサルティングを担当したとき、その企業が取るべき戦略についてクライアントの経営者と話していたら、「そもそも食品を国レベルで考えると、製品ではなくて資源。会社の製品ととらえるか、一国の資源ととらえるかによって、われわれの立ち位置が変わってきますよね」と言われ、驚いたことがあります。大きな世界を見ようと常に意識してこられたのでしょう。だからこそ、正しい戦略をつくり、組織をうまく動かすことができて人もついてくるのです。

■数字を挙げている営業マンが危ない

定年まであと十数年というこの年代、俗にいう「肩叩き」や子会社への出向を命じられる人も出てくるかもしれません。そうならないために、仕事のやり方を根本的に変える必要があります。

毎期、ある程度の数字を挙げられる営業マンがいたとします。実はそういう人が一番危ない。なぜなら、その人は会社に対して決まった機能を提供しているだけで、代わりはいくらでもいるからです。かつ、そこそこ仕事ができるので外に出てもやっていけると判断されてしまうのです。