勉強をするなということではありません。英語を学ぶなら、何のために必要なのか、習得して何に活かすのかというアウトプットをまず明確にして取りかかるべきです。場合によっては、英語より会計の勉強を優先したほうがいいということになるかもしれません。

40代に入って、私は本を書いたり大学で教えたり講演をしたりと、さまざまな手段でのアウトプットを心がけてきました。もちろん、出版や講演以外にも方法はあります。仕事の成果をレポートにまとめてもいい。読書会を始める、社内で勉強会を立ち上げる、部署横断の社内活性化チームを組織する……。何でもいいので、自分自身を試す機会と考えて取り組んでみてください。

■相手を理解するには自分を理解すること

日本企業でも人材のグローバル化が進み、40代の管理職の場合、ある日突然、外国人の部下ができるケースもあるでしょう。そんなとき、相手がアメリカ人ならアメリカの歴史、中国人なら中国のお国事情を勉強したほうがよいのでしょうか。答えは然りかつ否です。もちろん、そうした話題を出せば外国人の部下は親近感をもってくれるでしょう。でもそれだけでは足りないのです。

現在勤務している会社は外資系なので、全世界のパートナーが集まる会議が年に数回あります。懇親会の席上、フランス人が私に武士道に関する質問をぶつけてきました。すると同席していたロシア人が「それは『ラストサムライ』の世界だね」と言うのです。国籍が違う2人が「ラストサムライ」を観て武士道、そして日本への憧れを抱いていた。そう、国際社会では誰もが「自分のルーツ=拠って立つ軸」を意識せざるをえません。

相手を理解するうえでは、自分が何者かということを理解していることが大前提です。逆にいえば、大事にしたいものをもっている上司に、日本人、外国人を問わず部下は自然についてくるものです。