2013年1月11日(金)

カレーとシチュー作りがうまくいかない意外な原因

プレジデントFamily 2012年2月号

大塚常好=文 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:槻舘慎也

食卓の定番中の定番、カレー。真冬の定番料理のクリームシチュー。どちらも野菜と肉を炒めて煮込んで、ルウを割り入れると出来上がり。料理が苦手な人でも作りやすい入門料理だが、案外、ルウが溶けずに残ったりうまくとろみがつかなかったり、イマイチに仕上がってしまうことがある。

――ルウを入れるときに失敗の原因がある気がします。ルウを入れるときの注意点はありますか?

 

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ルウを溶かす際、鍋の温度が高すぎると舌触りが悪くなる

先生まず考えられるのは、ルウを入れるときの温度ですね。カレーもシチューもルウの扱いは同じと考えてください。どちらも高温すぎても、低温すぎてもいけません。約90度が最適です。ルウの成分は、カレーパウダーやスパイスのほか、小麦粉、油脂などです。この中でとろみに関連しているのが、小麦粉の中のでんぷんです。小麦粉のでんぷんは90度くらいだと、糊化(こか)して(のり状になり)とろみがつきやすいんです。

――温度計を使わなくても「90度」になったことがわかりますか?

 

先生鍋の表面を見ていればわかりますよ。カレーもシチューも具材を煮込んでからルウを入れます。ルウを入れる前に、“一度火を止める”という手順がポイントです。鍋底からグラグラ、グツグツと水蒸気が上がって鍋の表面がボコボコと動いている状態が100度に近い状態。火を止めると温度が下がるにつれて水蒸気の気泡が小さいプツプツの状態になっていきます。その小さな泡もおさまった状態がおよそ90度。そうしたらルウを溶かしてください。

――鍋の中がグラグラ煮立っているくらい高温のほうが、ルウは溶けやすいのでは?

 

先生それが、ちょっと違うんですね。高温の中にルウを入れると、ルウの表面の小麦粉のでんぷんだけが急激に糊化してしまい、かえって内部のルウが溶けにくくなってしまうんです。

――すると、味にはどんな変化がありますか?

 

先生ザラザラした舌触りになったり、溶けずに残ったルウがいわゆるダマになったりしてしまいます。ダマは菜箸で丹念にほぐしていけば溶けますが、ジャガイモにくっついたり、肉にくっついてしまったりしたダマはほぐしにくいです。全体がカレー色の鍋の中でダマを発見するのは意外に骨が折れる作業です。

――温度はきちんと守っているのに、とろみがつかないと訴える人もいます。

 

先生ルウを割り入れたあと、再び火をつけて煮込んでいますか? 食品メーカーによって時間は違うかもしれませんが、10分程度煮込むことをお勧めしていると思います。

――え、ルウ投入で完成では? カレーのいい匂いもして、家族みんな腹ペコだから、早く食卓に並べたいんです。

 

先生一般家庭にお邪魔してカレーの作り方を見せてもらう調査をしたときにも、ルウを入れて、煮込まずにそのまま食卓に出してしまう方もいました。でも、ルウを溶かしたあと、再加熱することでとろみがつくように作ってあるので、とろみ不足になることがあります。また風味を全体になじませるためにも仕上げの10分間の再加熱がとても大事なんです。

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大塚 常好