GDPで日本を追い越し、世界第2位の経済大国となった中国。ビジネスの世界でも、英語の次に習得すべき言語として、中国語の地位が俄然、高まってきている。

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中国語検定

「10年前であれば、中国語は『現地に赴任してから学ぶ』姿勢が中心でした。でも、中国では英語があまり通じないこともあって、企業は今『赴任前にある程度の中国語力を持っていてほしい』と考えている。若者が日本から中国に留学するケースも増えてきています」

インテリジェンスが運営する転職情報サイト「DODA」の美濃啓貴編集長はこう明言した。

従来、中国では日系メーカーを中心とする進出企業同士の取引が多かった。現在は現地スタッフが自律的に、中国国内での営業や、欧米、東南アジアなどの第3国の企業との取引に従事しなければならなくなった。中国市場をめぐる競争が一気に激化しているからだ。

インテリジェンスの調べによると、11年1月のDODAへの語学力を条件とした求人のうち、中国語は27.5%を占め、10年1月の18.5%から急伸した。語学求人のうち、英語に次ぐ位置にいる。

「オフショア(海外の事業者や海外子会社に委託する事業形態)ではなく、『中国の仕事を取りにいく』という姿勢が如実に表れています」(美濃氏)

業種別では、工業部品などのメーカー、それにメーカー系商社が多い。現地生産拠点の工場長や工場管理系、さらには欧米の納入先、販売先に売り込む営業系の求人が増えているという。

リクルートが運営する就職ポータルサイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長も、「企業は今は米国より中国に目が向いている。中国志向はますます強まっている」と同様の見方を示した。

とりわけ大学や就職との関連では、中国語学部の新設が相次いでいるし、同時に中国人留学生も増え続けている点に注目している。

「英語と比べると、かつてはさほど魅力を感じなかった日本の学生たちも、勢いがある中国語を『かっこいい』と思うようになっているのではないでしょうか」(岡崎氏)