生活習慣と深くかかわっているだけに、ぜひとも心がけておきたい「血圧」と「コレステロール」対策。2013年を活発な1年にするためにも、いまから準備を始めておくのが吉だ。

多忙な日々の中で「血圧」と「コレステロール」対策を実践するには──?「食」の視点を中心に、日本女子大学家政学部食物学科の丸山千寿子教授に聞いた。

「そろそろ気をつけよう」の
タイミングは早まっている

──ビジネスパーソンが心身の均衡を崩してしまう要因は多々あると思いますが、どんな社会背景が関係しているとお考えですか。
丸山千寿子●まるやま・ちずこ
日本女子大学
家政学部食物学科教授
動脈硬化の危険因子である肥満、高血圧、脂質異常症などの予防・治療における栄養療法と治療効果を高める教育法の開発研究に取り組む。

丸山 仕事をしていれば、「周囲の状況に合わせなければならない」という場面がほとんどでしょう。特にこれから年末にかけての時期なら、取引先や上司との付き合いなどが重なるでしょうし、「年内の追い込み」として、つい夜遅くまで無理をしてしまうことも増えるはずです。生活が不規則になるのは、半ば致し方ないという側面もあります。

また、近年問題視されているキーワードとしては、例えば「ロコモティブシンドローム」があります。運動不足などによって足腰の機能が低下し、介護の必要度が高まる。その兆候は、早ければ40代頃から出始めることもあります。運動不足は内臓脂肪蓄積によるメタボリックシンドロームの原因でもあります。

このように、生活習慣の3つの柱と呼ばれている「食事」「運動」「睡眠」のいずれも守るのが難しくなっている。これが、いまの私たちが置かれている社会状況だと思います。さらに喫煙や飲酒が加われば、簡単に「生活習慣病」に至ってしまうというわけです。日本の男性は30代から40代にかけて、肥満の傾向が著しく高くなります。あわせて、血圧、コレステロール、血糖値の値が正常ではないという人の割合が上昇します。しかも、近年は若年化が進んでおり、すでに20代の後半からこうした変化が現れる人も珍しくありません。つまり、「そろそろ体に気をつけた方がいい」という時期は、年々早まっているといえるのです。

なぜか思い込んでしまう
「自分は健康だ」という認識

──食生活をご専門とする先生から見て、改善すべきポイントはどこにあるのでしょうか。

丸山 私の立場から現代の生活習慣を眺めたときに顕著なのは、「食事のアンバランスさ」です。さまざまなメディアなどでもよく話題になりますので、ご存じの方も多いと思いますが、1つには朝食の欠食率が高まっているという事実があります。「平成22年国民健康・栄養調査」によると、30代の男性だと週4、5日は食べないという人を含めて、20%以上が朝食を抜いているそうです。

そもそも食事の本来の目的は、「1日しっかりと労働するためのエネルギーを補う」こと。3回に分けて摂取すべき量が、昼、夜の2回に偏っていき、しかも食べる時間帯が遅めにシフトしていくのは、決してよくありません。それも揚げ物や肉類といった高カロリーのランチや夕食で、まとめて必要なエネルギーを得ようとしてしまう。しかし、もちろんそのすべてが消費されるわけではありませんから、余剰分はただ体内に蓄積されていくということになります。まさに肥満に陥る、典型的な原因の1つです。