2012年12月7日(金)

「痛風の原因はビール」か?

――可能性大。毎日飲む人は、飲まない人の2倍のリスク。

プレジデントFamily 2012年1月号

福島安紀(医療ジャーナリスト)=構成
先生:東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター教授 谷口敦夫

毎晩ビールを飲んでいる人もいると思いますが、ビール大瓶1本を毎日飲む人はほとんど飲まない人に比べて、痛風になるリスクが2倍以上になることを知っておいてほしいと思います。

痛風は、血液中に増えすぎた尿酸が関節の中で結晶化し、急性関節炎(痛風発作)を起こす病気です。病名に「痛」という字が入るほど強い痛みを特徴とする病気です。また、痛風の風は「病」を表します。風が吹いても痛いから痛風と勘違いしている人もいますが、「痛い病気」という意味なのです。

ビールを飲む量が増えるにつれて、血液中の尿酸濃度は確実に上昇します。痛風を発症するリスクは血中尿酸値が7.0ミリグラム毎デシリットルを超える頃から上昇し、9.0ミリグラム毎デシリットル以上では特に高くなります。痛風を起こしやすいのは30~50代の男性で、いわば、働き盛りに多い病気といえます。ビールをたくさん飲めば必ず痛風になるというわけではありませんが、気づかないうちに、急性関節炎を起こす一歩手前になっているかもしれません。

酒類の中でも、ビールには痛風のもとになるプリン体と呼ばれる物質が特に多く含まれています。プリン体は体内で分解されて尿酸になります。尿酸は老廃物の一種で、腎臓から尿と一緒に排出されます。ところが、プリン体の多い食品を摂取しすぎたり、尿酸がうまく排出されなくなったりすると、血液中の尿酸値が異常に増え、高尿酸血症になります。この高尿酸血症が続くと、尿酸塩の結晶が関節の中にたまります。私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってくると白血球が反応し、攻撃する防御機構が備わっています。痛風発作が起こるのは、関節にたまった尿酸塩を異物と認識し、白血球が攻撃するからなのです。

プリン体を多く含む食品には、レバー、魚の卵、干物などもあります。果糖には尿酸を増やす作用があるので、ジュース、糖分入りの缶コーヒー、スポーツ飲料などにも注意が必要です。昼間は缶コーヒー、夜は毎日のようにビールを飲み、おまけに運動不足、仕事でストレスが強いなどというお父さんは、痛風になるリスクが大です。

では、尿酸値が高い人は、ビールをやめてほかの酒に替えればいいのかというと、そうではありません。焼酎やワイン、ウイスキーは、確かにプリン体は少ないのですが、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があります。お酒はいずれも適量にとどめることが大切なのです。

尿酸は、関節だけではなく、腎臓にもたまる性質があります。何度も痛風発作を起こすような状態になると、腎臓にダメージがあることが多く、さらに高血圧や糖尿病などを合併する危険性も高まります。メタボリックシンドロームも、尿酸値が高い人がなりやすいことがわかってきました。

最近では若い年代に尿酸値が高い人が増えているようです。父親が痛風で肥満の男の子は大人になると尿酸値が上がってくるかもしれません。まずは体を動かして、肥満を解消させるようにしてください。


先生:谷口敦夫/東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター教授
三重大学医学部卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員、東京女子医科大学准教授などを経て、2008年より現職。著書に『尿酸値が高く痛風が気になる方へ』(主婦と生活社)など。

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