I.正す練習

「有害性(脅威)を感じやすい人」にとくに必要な練習である。「有害性(脅威)」を強く感じるかどうかが、事実に直面したとき、それをどのように解釈するかに大きく左右されることは、すでに何度も述べた。「Aさんが私のほうをじろりと見た」という1つの事実に対し、「Aさんは私を憎んでいる」という解釈をしてしまえば、悩みの迷路に突入することはほとんど避けようがない。

「正す練習」とは、1つの事実に直面した際に、有害性(脅威)を過大に評価することがないよう、「非論理的な思いこみ」をなくそうとするものである。「Aさんが私のほうをじろりと見た↓私を憎んでいる」という思考の非論理性に気づき、単に「そういう事実があった」という、歪みのない認識に変える練習をするということだ。

なお、前述のように「有害性(脅威)を感じやすい人」は、「すべき思考」「性急な結論づけ」「不安の自己増殖」などの傾向があることから、この3つの「非論理的な思いこみ」について「正す練習」をするとより効果的である。

II.分ける練習

施策発見力に自信のない人には必須である。問題解決の基本は「分ける」にある。分けることで、因果関係の糸も見えるようになり、より具体的な解決策を見出すことも可能になる。たとえば「子どもの成績が悪い」という問題では途方に暮れるが、「割り算が苦手である」という問題なら、解決策はかなり考えやすくなるはずである。

流行のロジカルシンキングでは「ロジックツリー」などを活用することが多いが、このようなツールも活用したりして、1つの問題がどのような「部分」からできているかを把握できれば、施策発見力は大幅にアップするはずだ。

III.広げる練習

やはり施策発見力に自信のない人のための練習だが、視野が狭かったり、こだわりが強かったりして、解決策をあらかじめ自分で限定する傾向の強い人に、とくに必要なものである。

この練習のポイントは「自己への気づき」である。たとえば、不快な発言を繰り返す上司がいるという状況を考えてみよう。これに対し「でも上司だから言えない」と思っていれば、それは解決策から除外されてしまうことになる。しかし、その「言えない」が自分の単なる思いこみにすぎず、「べつに言っても構わないのではないか」と気づけば、1つの有力な解決策を手に入れることが可能になる。思いこみのバリアーを解除すれば、それだけで施策の幅はぐっと広がるのである。

もちろん、解決策を広げるには、知識量を増やしたり、他人に相談する習慣をつけたりする努力も不可欠である。