人びとはどのサービスをどの程度利用し、その傾向は年々どのように推移しているのか――。プレジデントオンライン編集部がビデオリサーチ社と共同でお届けする本連載。首都圏の消費者を「お金持ち」層(マル金、年収1000万円以上)、「中流」層(マル中、年収500万円以上から1000万円未満)、「庶民」層(マル庶、年収500万円未満)という3ゾーンに区切り、生活動態の分析を試みている。前回に続き、大手チェーン居酒屋を検証していく。 


「リーマンショック」で家飲みが激増

居酒屋チェーンが試行錯誤を繰り返しつつ頑張る今、その最大の敵は「家飲み」が増えたことではないだろうか。我々はそんな仮説を立て、ビデオリサーチ社のMCR 調査のなかから「月〜金の自由な時間に自宅でお酒を飲む」割合を調べてみた。

これによると、まず2008年のリーマンショックにより、その後の09年調査ではマル高の家飲みが激増。これをよいトレンドと受け止めてか、マル庶の家飲みもかなり増え、マル中は微増となっている。そして震災後には、いったん家飲みすら減少となっている。

また次に「月~金の自由な時間に飲食店に行くか」を見てみよう。

意外なことにリーマンショックでは、家飲みも激増したマル高が、外での飲食も減らしていない。どちらかというとマル庶が外での飲食を減らしている。震災後は気分的に全体が外での飲食をやや減らす方向に傾くが、マル庶だけはまた外で飲食し始めたという不思議な結果になっている。

これらのデータを踏まえた上で、居酒屋チェーンだけでなく、外食産業そのものの展望を、株式会社カゲン取締役で飲食業コンサルタントの子安大輔氏に分析してもらった。

「おそらく居酒屋チェーンでいえば、個人利用よりも法人利用が多いのではないでしょうか。会社の部署の宴会のようなものをやるイメージですよね。また、居酒屋チェーンをノンアルコールで昼間に利用するなどという、新しい宴会の形も見られるようです」

数々の飲食店をプロデュースする子安氏は、外食、中食、内食が互いの垣根を越え出したことにもっとも注目している。

「全年代層で中食が15%以上増えているというデータもありますが、これは私の実感とは違っています。拡大しているはずなのに、デパ地下の売り上げも落ち着いてしまっている。これはなんなのか。たとえば、外食の店が弁当をテイクアウトするとか、ビストロがネットでパテを売って売り上げを伸ばすというようなことがどんどん起こっているということなのです。昼はお弁当だけ、夜は飲食店というような業態も少しずつ増えていますね」

しかしそれが全体の飲食業界の活性化につながっているかという点では、疑問視する。

「外食について言えば、おいしいものとおいしいお酒で、よい時間を提供するのがベストだと私は思います。秋になったら銀杏を炒っておいしい日本酒を飲みたいよね、というような。特に夜の飲食店はインフラにはなれないのではないでしょうか。つまり、メガチェーンでありながら愛される、というのは難しいのではないかと思うのです。最終的には個店の面白さに行き着くと思うのですが」

それでも一方で、気になる居酒屋チェーンもある、と子安氏はつぶやいた。

[グラフはこちら] http://president.jp/articles/-/7846

※ビデオリサーチ社が約30年に渡って実施している、生活者の媒体接触状況や消費購買状況に関する調査「ACR」(http://www.videor.co.jp/service/media/acr/)や「MCR」の調査結果を元に同社と編集部が共同で分析。同調査は一般人の生活全般に関する様々な意識調査であり、調査対象者は約8700人、調査項目数は20000以上にも及ぶ。

 

子安 大輔 飲食プロデューサー
1976年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、株式会社博報堂に入社。マーケティングセクションにて、食品や飲料、金融などの分野の戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、共同で(株)カゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』(ともに新潮新書)。