実際、英語を重視する新卒者求人について、岡崎氏は「まだ兆しの段階で、これからもっと増えていく」と強調した。とりわけサービス業での動きが活発化するとみている。

「日本が観光立国を目指す中、特に観光業界で英語関連の求人が増えています。従来のような旅行会社関連だけでなく、外国人をもてなす地方の旅館などが、積極的に英語のできる人材を求めるようになるとみています」

ほかにも、内需頼みを脱却し、海外市場や日本にやってくる外国人の需要を開拓しようとしている医療関連業界、さらには「業務で使うソフトウエアや各種商品のマニュアル、仕様書がすべて英語」といったケースも珍しくないIT業界も、英語力の高い人材へのニーズが高まりつつある。

海外取引の多い製造業では、これまでの営業・販売系だけではなく、技術系職場でも高い英語力が求められるようになっている。実際、もともとコミュニケーションが苦手とされる理系の大学生たちも熱心に英語に取り組むようになっているという。

新たに海外に打って出ようとする企業だけではなく、もともと英語が重要視されてきた職場でも、もう一段の英語力アップを図っている企業が目立つ。

全日本空輸は、客室乗務員の新卒、中途の採用について「人物重視。英語力については、少なくともTOEIC600点程度を目安として求めている」(広報室)という。入社後は英語の通信教育への補助や英会話、ライティング、異文化理解などの研修を受けさせてレベル向上を図っているが、まだ改善点があるとしている。

「事業のさらなる国際化を進める中で、客室乗務員に限らず、それ以外の多くの職場で高い英語力が必要になってきている。だが、英語の上達には時間がかかり、費用対効果の面でも課題がある。社員の英語に対する意識改革を進めたい。今は行っていないレベル別の英語教育の導入も検討している」(広報室)