Q. 住まいが子供の能力に影響するって本当?

アメリカで高校生を対象に行ったあるアンケート調査によれば、協調性や創造性が高い子供の住まいには屋根裏部屋などの「遊びの空間」があり、低い子供の住まいは「遊びの空間」が少なかったという傾向が示されたそうです。考えてみれば、伝統的な日本の住まいにも、縁側や縁の下といった「遊びの空間」が備わっていました。こうした例をあげるまでもなく、人の心に空間は大きく作用します。まして子供にとって、住まいは「原風景」として強く影響を与える場所です。その住まいにおいて、遊びの空間をいかにつくるかは、塾に近いといったような至便さなどよりも大切なテーマだと思います。

都市の密集地でもこうした遊びの空間をもたらすならば、開放感とプライバシーを両立させる「中庭(パティオ)のある住まい」がよいと思います。中庭をつくり、2階に届くほどの植栽を植えることによって、光と風、自然のやすらぎ、奥行きや広がり感を住まい全体にもたらすことができます。また、どの部屋からも植栽やオブジェが見えることで、住まいの求心力や家族の一体感が高まるのです。間取りはこの中庭の吹き抜け空間を中心に回遊式にしておけば、子供が屋内をぐるぐる走り回れます。「遊びの空間」をつくることで、家族の絆を深め、子供の夢や豊かな心が育まれることでしょう。

Q. 間取りは子供中心に考えたほうがいい?

つい子供中心に考えがちですが、住まいの寿命を考えれば、子供が自立した後、親世帯だけで住み続ける期間のほうが長いのが普通でしょう。にもかかわらず、構造はまだ丈夫なのに親世帯の暮らしに「間取り」が合わなくなって建て替えるケースはとても多い。これは経済的にもエコの視点からも、考え直すべき点ではないでしょうか。

住まいづくりにおいては「子育て後」の青写真もきちんと描いておくことをお勧めします。例えば、夫婦2人の暮らしになったら、どんな趣味を持ちたいか。将来その趣味のための専用部屋にすることを見越して、子供部屋をプランしてもよいわけです。また、「将来は2世帯住宅にしたい」と考えているなら、新築時に相談すれば、配管などの備えも含め、将来を見越したプランを提案してくれるでしょう。将来のビジョンがまだよく見えない場合は、基本的に子供部屋はあまり広くとらず、その分、夫婦の寝室やリビングなどの共有空間を広くしておいたほうが、後々の暮らしにもフィットしやすいといえます。特に、子供部屋の広さを優先したために、夫婦の寝室が「狭くて会話する気にならない部屋」になってしまうようなことは避けていただきたいですね。夫婦の会話は、家族のコミュニケーションの核になる大切なものですから。