ムダが必要なのは若いうちだけではない

賃金の低い仕事は、決められた仕組みの中で仕事をし、賃金の高い仕事は、仕組みそのものをつくり出す仕事である場合が多い。それに伴い、仕事に対するスタンスも異なってくる。年収の低い人は深く目的を考えずに決められた枠組みの中で仕事をしていても通用するが、年収の高い人は視野をより広く持ち、何のためにその仕事をするのか、目的や意味を常に考える必要がある。同時に、年収の低いうちから目的を意識しながら仕事をすることで仕事のクオリティが上がり、結果的に高収入につながるともいえる。

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76%が、手がけている仕事の目的や意味を考えている

「自分がいま手がけている仕事の目的、意味を常に考えるよう意識している」に「あてはまる」人が、1500万円以上で29%を超え、400万円台の2倍以上となっていることからも、この違いがわかるのではないだろうか。また、「自分で意識するだけでなく、仕事の目的と意味を伝えるよう意識している」では、「あてはまる」で3倍近い差がついた。仕事の目的と意味を共有できていなければ、相手が仕上げた仕事の方向性が違い、手戻りが生じる可能性も増える。その結果、相手の時間だけでなく、自分の時間まで失うことになるのだ。

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どのような仕事でも、面白さを見出すように意識するで1.9倍

「若いうちにムダと思える仕事に時間を使ったり、徹夜をしたりすることにも、重大な意味があると思う」に「あてはまる」人が1500万円以上では28.2%を占め、400万円台より11ポイントも多い。「迷ったら、新しいほうの選択肢を選ぶようにしている」人は1500万円以上だと3人に1人が該当する。

ブレークスルーにはチャレンジが必要だ。効率性がますます求められる職場環境であるが、失敗や「必要なムダ」からしか新しい仕事は生まれない。アンケート回答者の属性上、年収の低い人は比較的若いために、ムダの重要性に関する経験値が低いのかもしれない。だとすれば、なおのこと若い読者の方にとっては有用な意見であるといえよう。ただし、ムダが必要なのは若いうちだけではない。既存の仕組みを変えようと思ったら、試行錯誤が必要であり、その過程でのムダから重要な発見がなされるものである。つまり成果を求めるのであれば、あらゆる年齢でムダは必要なのだ。

※すべて雑誌掲載当時

(山崎将志=分析 飯田安国=撮影)
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