ファンクショナル・アプローチ研究所
代表取締役社長 横田尚哉氏

たとえば「10年後までに人前で講演をする」という理想像があったとします。もちろん理想を掲げるだけでプレゼンやトークのスキルが身につくことはありません。「このままいまの会社にいても人前でプレゼンする機会は少ないだろう」という未来予測があってこそ、次に打つべき一手が浮かんでくるわけです。

環境の変化が激しい時代だから、未来のことはよくわからないという人もいるでしょう。しかし、未来の予測はそれほど難しくない。というのも、人は自分が歩んできた時間と同じ長さの未来を見通すことができるからです。

社会に出て20年経った人は、後ろを振り返れば20年分の道のりが見渡せる高さまで人生の道を上ってきたはずです。その高さから前を向けば、自ずと次の20年も視野に入る、というのが私の持論です。

逆に言うと、ある分野で20年の経験があるのに、その分野について20年先が何も見えないのなら、「キャリアの長さは20年だが、経験の濃さや知見は5年分」と言わざるをえない。キャリア相応の質の高い時間を積み重ねてきたなら、その時間の長さだけ、自分なりの未来予測はできるのです。

未来をシミュレーションして改善策が見えてくれば、改善策の実行方法や、改善効果を定期的にチェックして、見直す機会についてもスケジュールに落とし込むことができ、「手段を設定する」「手段を検証する」といったファンクションも達成可能になります。「将来、こうなったらいいな」では単なる願望であり、人生設計とはいえません。

ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役社長 横田尚哉(よこた・ひさや)
改善士。世界最大企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)の価値工学に基づく分析手法を取り入れて、総額1兆円の公共事業改善に乗り出し、10年間でコスト縮減総額2000億円を実現させた。「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的となっている。全国から取材や講演依頼が殺到し、コンサルティングサービスは約6カ月待ち。また、「形にとらわれるな、本質をとらえろ」というメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、業務改善にも功を奏することから「チームデザイン」の手法としても注目が高まっている。
(村上 敬=構成 葛西亜理沙=撮影 ファンクショナル・アプローチ研究所=図版提供)
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