2012年11月14日(水)

採用面接で、なぜハズレばかり引くのか

上司の気懸かり10篇

PRESIDENT 2012年6月4日号

著者
谷所 健一郎 やどころ・けんいちろう
キャリアドメイン代表

谷所 健一郎1957年生まれ。東京大学教育学部附属高校在学中にニューヨーク州立高校へ留学。武蔵大学卒業。ヤナセ等を経て独立。人事業務20年以上、面接経験1万人以上。著書に『「できる人」「できない人」を見抜く面接術』ほか。

キャリアドメイン代表 谷所健一郎 構成=西川修一 撮影=石橋素幸
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採用担当者が「ハズレばかり」と嘆くのは、すぐ辞める応募者に問題がないとはいわないが、採用する側が応募者のハートを動かせていないのが原因だと考えている。
キャリアドメイン代表 
谷所健一郎氏

昨今は、担当者が採用の仕事に専念しづらい。多くの場合、現場の管理や総務の仕事も兼ねる。そのせいか、求人サイトの定型文を丸々引用するような意識の低さが目立つ。それでも、募集さえかければすぐに50人、100人集まるから、つい安心して“上から目線”の採用を展開してしまう。

営業などと違って、言い訳をしやすいのも問題だ。「今年は質が悪い」「学生はやる気がなくなっている」などといえば、「まあ、仕方ないか」で終わってしまう。

「人は会社の財産」と口ではいっても、本当に理解している人は少ない。人で会社が潰れることもある、という危機意識が欲しい。そうでなければ、なまじ応募者が集まってしまうことが、かえって危険な方向へと作用してしまう。

応募者は非常に繊細だ。新卒向けの会社説明会の案内を定型のフォーマットで行っても、学生はなかなか集まらない。彼らは自分に合う会社というものを非常によく考えている。文面一つでも舐め回すように読んで、心が動くかどうか、説明会に参加するかしないかをじっくり見極めている。

中途採用者も同様、採否の結果の連絡がなくても、「採否に影響するのでは?」と悩んで、確認の電話もかけられないくらいナーバスだ。いくらお客様扱いしても、内定後に“釣った魚に餌をやらない”ような態度では、「騙された」と感じてしまう。新しい環境では、誰でもストレスを感じやすい。すぐに言い訳をつくって「ここは思っていたような会社じゃない」と結論付け、早々に辞めてしまう。

採用担当者は、そんな応募者のハートを動かすことに専念しなければいけない。いい人が来ない、と嘆く人は、往々にしてこうした応募者側の心理を理解していない。

応募者の心を動かすのに最も効果があるのは、会社のことを最も熱く語れる経営者の言葉だ。中小企業では、経営者が直接面接するからいい人材が取れるといわれる。経営者が直接関わるだけで、採用に対する社内の意識は変わる。

私が実際にお手伝いしている会社では、ネット上に社長の言葉を掲載し、求人を行った。自分の業界はこうで、今後わが社はこうなっていく。賛同する者よ集まれ……と、徹底して社長に語らせたのだ。それだけでも、集まりは随分とよくなった。

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