立石(一真)さんや松下幸之助さんと一緒に仕事をしていた当時、私はプレジデント誌に「大経営者は消しゴムがでかい」という論文を書いた。要するに立石さんも幸之助さんも、簡単にオールクリアのボタンを押してしまう。一度決めたことを取り消すのに、まったく躊躇がないのだ。

幸之助さんは色紙を頼まれると、よく「素直な心」と書いた。分かっていない人にはもっと丁寧に「とらわれない、素直な心」と書くこともあった。

「素直な心でやらなあかんで」というのは、状況に応じて変えるということだ。幸之助さんは「状況が変わったんやから、結論も変えればええがな」という言い方をしていた。

立石さんはもっと強烈で、「朝令暮改は経営者の務め」と言って憚らなかった。