世界に出て行ったアメリカの製造業は、俗説とは逆に世界シェアを伸ばしている。ほとんどのアメリカ企業は生産基地を世界の大市場、あるいは生産の最適地に移してしまつたが、メーカーとしての競争力を失ったわけではない。ナイキはアメリカで(「エア」バブル以外)何も作っていないが、その契約工場の運営ノウハウは圧倒的である。ベトナムやインドネシアからの輸入量も半端ではない。米メーカーはアメリカという生産地を嫌っているだけで、メーカーとしての能力は失っていなかったのである。しかもアメリカは、国内では製造業を失った代わりになる新たな産業を育てたから救われた。ソフトウェアや金融商品である(もっとも金融商品のほうは、後にその多くがイカサマ商品だったことがバレたわけだが)。

翻って日本は、新しい産業を生み出す努力も制度も見られない。