小選挙区制の導入は何をもたらしたのか? 結論から言えば、政策論争が非常に起こりにくくなった。衆議院選挙が首長選挙のようになり(首長選挙は小選挙区制である)、知名度による人気投票になってしまった。

人気投票とはどういうものか? 私が出馬して落選した1995年の東京都知事選を振り返るとわかりやすいだろう。自分で言うのも何だが、それまでの鈴木俊一都政の良いところは残しながら、破綻(はたん)している東京都の財政を再生するリーズナブルな提言をした私は有権者の支持を得られず、42万票の4位と惨敗。鈴木都政を全否定して「都政から隠しごとをなくします」というスローガン一発だけで政策は何もなかった青島幸男氏が170万票を取って圧勝した。

だが結局、青島氏は(最初からわかっていたことだが)何もやらないまま都知事の椅子を投げ出し、後任には対極的な強面(こわもて)の石原慎太郎氏が圧倒的な支持を集めて選ばれた。この間、東京都政の中身は何も変わっていない。なぜなら、政策論争を全くしていないからだ。石原都知事でさえも、新しいことは何も言っていない。米軍横田基地の民間転用、羽田空港の国際化は、私が95年当時に出した政策集の25項目の中の2つにすぎない。