チョークアートってご存じですか。道路にチョークで描いた3Dに見立てた絵のことで、ヨーロッパのストリートパフォーマーが描いていたのがインターネットで話題になっていたんです。ちょうどそのとき、「ゴール!」というサッカーの映画のプロモーションを考えていて。彼のアートがぴったりだと考えた私たちは、海外に飛んで彼を探し出し、日本に来てもらったんですよ。プロモーションで歌舞伎町の広場にゴールシーンを描いてもらったら、ワールドカップ開幕直前だったこともあって、様々なメディアに取り上げてもらいました。こういう話題づくりも必要ですよね。

全く新しいサービスで、日本にまだ市場がなく、認知度が低いものを売り出すときは、先行して話題の種を蒔いておくことも大切です。

当社が手がけた案件に、東京・豊洲にあるテーマパーク「キッザニア」があります。キッザニアは「子供向けの職業体験型施設」という日本では全く新しい施設。テーマパークというのは企業がスポンサードすることで成立していますが、オープン前、まだキッザニアのキの字も出ていない段階では、そのスポンサー探しのためにPRが必要だったんです。

そこで行ったPRは2つ。1つはニートやフリーターの問題など社会的な記事をメディアに仕掛けて、職業体験施設の重要性を間接的に訴えるという方法。もう1つは、メキシコに似たようなテーマパークがあるというので、プレスツアーを組んで現地の取材をしてもらうという方法。まずは「こんな問題があるんだ」「こんな施設があるんだ」とメディアに認知してもらうのが第一段階で、その記事が出れば直接セールスするよりよほど効果がありますよね。単純なリリースではだめで、リリースを出す前の段階でのPRがその後を左右するんです。

切り口は様々。「そんな宣伝はうちのイメージに合わない!」と硬く考えず、商品やサービスのイメージを膨らませると、効率のいいPRにつながります。

(西川留美=構成)