「資格はとったけれど」高齢難民が急増する

藤川氏は、会社員の意識のあり方にも問題があるととらえる。リストラに遭い、相談にくる人の大半が「自分は大丈夫」と思い込んでいたという。「会社の危機を他人事として見ていた。考え方が甘く、キャリアの棚卸しもできていない。だから、転職はなかなかできない」(藤川氏)。

資格の取得などに活路を見つけようとする人もいる。しかし、「こういう人は資格を取っても転職がスムーズに進まないのではないか」と藤川氏は指摘する。「自信がないから、資格に逃げるのだろう。50代でリストラになった人がファイナンシャルプランナーの資格を取った。だが、受け入れる会社はなかった。資格をとっただけでは、即戦力といえないことすら認識できていない」(藤川氏)。

結局、リストラに遭ったときのダメージを極力少なくするためには「お金を貯めるしかない。少なくとも半年間の生活費は確保しておくこと」(藤川氏)。民間の保険商品は、入院時はともかく失業時には頼りにならない。収入は唯一、雇用保険の失業給付によるものだけとなるが、その期間や額に制限がある。

失業中に住宅ローンなどを返済することができない人は、やはり増えているようだ。「すぐに金融機関に行き、返済期間や金利について相談をしたほうがいい。前提として日ごろから滞納をしないことが大切」(藤川氏)。

老後については、“高齢難民”が現れると藤川氏は予測する。収入はもちろんなく、退職金もさほどない。蓄えは長い失業期間で消える。受け取ることができる公的年金は当然、少ない。この状況で離婚をしたり、相手を失ったりするとひとりで生きていかざるをえない。病気になることも十分考えられる。