2012年11月2日(金)

「無駄に責任感じてやっています」-山田章仁

コーチの名言+PLUS—闘う者を磨く「ことば」の力【第7回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

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松瀬 学=文 高見博樹(T&t)=撮影

 山田章仁(アメフトにも挑戦するパナソニック・ラグビー部選手)

やまだ・あきひと 
1985年、福岡県生まれ。北九州市のYMCAラグビースクール(現・ヤングベアーズ)でラグビーを始め、強豪の鞘ケ谷(さやがたに)ラグビースクールへ。小倉高校を経て慶應義塾大学入学。U17、U19、U23、7人制で日本代表に。

日本人ラガーのスケールを超えたアスリートである。社会的な制約や常識にとらわれない。パナソニックのトライゲッター、27歳のWTB(ウィングスリークォーターバック)山田章仁はラグビーとアメリカンフットボールの「二刀流」に挑戦する。

ラグビーでは慶大—ホンダ—三洋電機—パナソニックとプレーしてきた。慶大2、3年時は単身で豪州留学するなど、独自の道を歩んできた。ホンダ時代にプロ転向。昨季はリーグのトライ数が2010年度の「13」から「5」に激減しながらも、アスリートとしての成長は実感していた。

もっと何かに挑戦したい。もっと多くの人に自分を見てもらいたい。そういったプロならではの欲求が高まり、今春からは日本社会人アメリカンフットボールXリーグ、ノジマ相模原の練習に参加した。こちらの報酬はゼロ。

「アメフトは趣味だから」と、山田は説明する。もちろん、けがの心配はある。だが「何かを得るためには、何かを犠牲にしないといけないな、という思いがあるので」と笑う。

8月31日は、ラグビーの練習を終え、群馬県太田市から横浜市に移動して、夜のアメフトのXリーグの試合にノジマのリターナー(相手キックを捕球するRB=ランニングバック)として出場した。1回の捕球で10ヤードを獲得。9月1日には、ラグビーのトップリーグのリコー戦(秩父宮)に出場し、独特のランから2トライをマークした。試合は圧勝。

「本当にいいスタートが切れたな、という感じです」

身長は181センチ。体重が5キロ増えて88キロ。アメフトを始めたことで、「グラウンド全体をパッと見ることができるようになった。相手防御のギャップやスペースが見えて、走りやすくなった」という。アメフトもラグビーも100%で取り組む。ファンの注目を集めるけれど、それもラグビーの人気アップにつながればいいなと期待している。二刀流のフロンティアとしての覚悟はある。

「無駄に責任感じてやっています。夢は、やりたいことはやること。やる以上は、どちらも日本一、どちらも日本代表になりたい」

純な野望。つい応援したくなる。山田はどこまでも独創的な生き方を貫くのである。

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