あまり悩むのなら環境の切り替えも

ただ、やりすぎると逆に「俺をバカにしているのか?」と思われかねません。そこで、わざとらしく聞こえないようにするには、怒られたときに言うのが効果的です。

下の立場の人が、上司を褒めるのは失礼に当たりますし、相手を立てるにしても、褒めるよりはねぎらう気持ちのほうがいいですね。そこに「お陰さまで助かりました。ありがとうございます」というように感謝もプラスしましょう。

この「ねぎらい+感謝」のセットは凄く効きます。しかも相手の年齢が上がれば上がるほど喜ばれるはずです。私も銀座でホステスをしていたとき、経営者の方が「俺がどんなに苦労しているか、社員はわからないんだよな」とよくおっしゃっていました。部下が「その苦労、よくわかります」って言ったら絶対に喜びます。

言ってしまえば、仕事で大した結果を出していなくても、これさえできていれば大丈夫なんです。

また、無視される前段階として、少しずつコミュニケーション量が減ってくるはずです。「最近上司と話をしていないな」と思ったら、とにかく話をすること。それと、同僚や周囲の人ともコミュニケーションを密にして、日頃から味方をつくっておきましょう。

そもそも「無視」という行為はパワハラです。男性はとかく頑固な性格なので、無視までいってしまったら、そう簡単には元には戻りません。どうしても無視が続くようでしたら、人事部などのしかるべきところに行くしかありません。もしくは見切りをつけて別の場所に行くのも選択肢の一つではないでしょうか。

無視された人は「自分に非があるのでは?」と、なかなか決断できないもの。でも、そこまで悩むなら、いっそ気持ちを切り替えて環境を変え、同じことが起きないようにやり直すほうが早いです。落ち込むところまで落ち込んでしまうと、「会社に行くのが嫌」「人間関係が辛い」と悪化する一方。うつ病になってしまっては元も子もありません。

心理カウンセラー 塚越友子
東京女子大学大学院社会学修士号取得。報道や広報の仕事を経て、銀座で人気ナンバーワンのホステスに。その後、心理カウンセラーとして独立し、東京中央カウンセリングを設立。
(構成=吉川明子 撮影=若杉憲司)
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