PANA=写真
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日本銀行総裁 白川方明(しらかわ・まさあき)
1949年、福岡県生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本銀行入行。大分支店長、国際局参事、審議役、理事、京都大学公共政策大学院教授、副総裁、総裁代行などを経て、2008年4月に第30代日本銀行総裁に就任。


 

昨年、米経済誌フォーブスが初めて「世界で最も影響力のある人物ランキング」を発表した。第1位は予想通りオバマ米大統領だが、日本人で最高位だったのが白川方明日本銀行総裁である。35位の鳩山首相(当時)を上回る26位だった。

その白川総裁の動向が、15年ぶりの超円高で注目されている。

急激に進む円高に対して政府や白川総裁は、当初、「注意深く見ていく」との発言を繰り返していた。しかし、財界やマスコミから円高無策を責められた政府が重い腰を上げ、8月30日に追加経済対策を発表。日銀も新型オペによる量的緩和を実施した。

ところが、予想の範囲内だったために、材料出尽くしで円高が一段と進んだ。政府・日銀の思惑とは裏腹に円高阻止には至らずじまいだった。

近年、世界の中央銀行のトップは、米国のバーナンキFRB議長も含めて学者出身が多い。白川総裁も日銀出身者だが、シカゴ大学で修士課程を取り、京都大学大学院教授を務めた学者肌の強い人物。シカゴ大学といえば、経済学的には市場原理主義「シカゴ学派」発祥の地だが、白川氏自身にはその信奉者というイメージは薄い。

ギリシャ危機を「目覚まし時計」として、国債価格急落を招かないように財政の健全性を訴える。日銀のバランスシートの悪化=円の信用失墜だけは避けたい、という姿勢が垣間見える。

莫大な財政赤字を抱える政府と二人三脚で、円の信用失墜を防ぐのが彼の最大の使命である。いわば現在のような超円高とは真逆の事態をもっとも恐れている。超円高の次は、ひょっとしたら超円安かもしれないからだ。

日本の浮沈を左右する決断は、白川総裁にかかっている。少なくとも日本の首相の座より責任は重そうだ。